政府の新たな成長戦略「未来投資戦略2017」には、対面診療と組み合わせて効果的・効率的な医療を提供する遠隔診療について、2018年度診療報酬改定で評価を行う方針が盛り込まれました。こうした遠隔診療を推し進める政府の方向性について、先生方のお考えをお聞きしました。
今回は116人の先生方から回答をいただきました。
遠隔診療の導入状況について尋ねたところ(Q1)、外来・在宅で「導入している」と回答したのは8%(9人)、「導入していない」は92%(106人)で、「導入していない」が大きく上回りました。
遠隔診療を推進する政府の方向性については(Q2)、「進めるべき」が34%(38人)、「慎重になるべき」が39%(44人)、「進めるべきではない」が 12%(13人)、「分からない」が16%(18人)で、意見が分かれました。
「進めるべき」の理由としては、「遠隔地、過疎地では医師や検査機器が不足しており、医学的知識の習得も難しい。こうした方法で不足分を補わねばならない」(勤務医・老人病科)など、医師偏在対策やへき地の医師不足対策の観点から期待する声が寄せられました。また、「コンピュータや情報通信の進歩を考えると避けては通れない」(勤務医・内科)、「セキュリティ、責任、費用など問題はあるが、少子高齢化でマンパワーが期待できない。やるしかない」(勤務医・内科)といった消極的な賛成意見も複数みられました。
一方、「慎重になるべき」の理由としては、「離島、災害時などに限って導入すべき」(開業医・内科)として、へき地などでの限定的な導入を求める意見が目立ちました。また、「患者さんの個人情報を保護する体制が不十分」(勤務医・内科)、「新しい診療方法には想定外のリスク、トラブルが起こることもある」(勤務医・内科)、「責任の所在がはっきりしない」(勤務医・産婦人科)との懸念も示されました。さらに、「医者と患者の直接の触れ合いが必要」(開業医・内科)、「触診など、対面によって得られる情報もある」(勤務医・内科)など、対面診療の重要性を指摘する声が多数上がりました。対面の重要性については、「進めるべきではない」の理由としても「表情、声の調子、視線、態度など、非言語的な関わりも診療の判断材料。遠隔では不可能」(勤務医・精神神経科)などの声が上がりました。このほか「進めるべきではない」では、「機械の導入、維持、管理費は誰が負担するのか」(開業医・内科)といった費用面での不安も見受けられました。