厚生労働省は17日、「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」(座長=堀田知光国立がん研究センター理事長)の初会合を開いた。がん患者の治療と就労の両立を巡る課題を明らかにし、社会的理解の推進や求められる支援のあり方を議論、夏をメドに報告書をとりまとめる。
日本のがん患者は増加しており、うち3人に1人は生産年齢(20〜64歳)で罹患。一方、医療の進歩で全がんの5年相対生存率は58.6%となり、がん患者・経験者の中にも長期生存し社会で活躍している人も多い。治療のために通院している有職者は32.5万人に上る。
そうした現状を踏まえ、2012年に閣議決定されたがん対策推進基本計画では、重点課題に「がん患者の就労」が位置づけられた。
初会合では、がんの診断後、有職者の34%が依願退職あるいは解雇され、自営業者の13%が廃業、平均年収も診断前の約395万円から約167万円に半減しているといった実態が報告。就労支援の課題として、相談窓口の充実や、事業所による支援策の好事例を共有する必要性などが指摘された。