政府の経済財政諮問会議(議長=安倍晋三首相)の民間議員は10月26日、2018年度予算における社会保障費の自然増について「5000億円を下回る増加に抑制すべき」と提言した。概算要求段階での自然増は6300億円と見込まれているため、年末の予算編成段階で1300億円以上の削減を求めた形だ。
伊藤元重学習院大教授ら4人の民間議員は、2018年度を「社会保障改革の節目」と位置づけた上で、2014、16年度の診療報酬改定等で平均1400億円、15年度介護報酬改定で600億円の抑制を実施できたことを指摘。「自然増5000億円未満」の達成に向け、さらなる抑制努力を求めている。
診療報酬改定に関しては、地域医療構想の実現と医療費適正化に資するよう、①7対1病床の基準・要件の厳格化、②医療・介護療養病床からの早期転換を推進する報酬体系の構築、③オンライン診療の促進─などを反映させることを提案。また、慢性維持透析にかかる医療費の都道府県格差が最大4.5倍に上るとのデータを踏まえ、透析医療の診療報酬の適正化を図るとともに、保険者等による糖尿病患者の重症化予防を促進する必要があるとした。
会議終了後に会見した茂木敏充経済再生担当相は「6年に一遍の診療報酬・介護報酬の同時改定となる2018年度はきわめて重要なタイミング」との認識を示す一方で、自然増の抑制については「具体的に4500億円なのか4000億円なのかという話は出ていない。キャップをかぶせるわけではない」と強調した。