編: | 高橋 裕(奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座教授) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 260頁 |
装丁: | 単色部分カラー |
発行日: | 2024年07月18日 |
ISBN: | 978-4-7849-0355-9 |
版数: | 初版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
1章 総論:内分泌疾患を見逃さないコツ
1 どのような症状・理学所見から内分泌疾患を疑うのか
2 どのような一般検査から内分泌疾患を疑うのか
2章 視床下部・下垂体疾患
1 下垂体機能低下症
2 下垂体腫瘍が見つかったら?
3 先端巨大症
4 高プロラクチン血症
5 クッシング病
6 中枢性尿崩症
7 SIADHと低ナトリウム血症
3章 甲状腺疾患
1 甲状腺機能低下症
2 甲状腺中毒症
3 甲状腺腫瘍
4章 副腎疾患
1 副腎偶発腫
2 原発性アルドステロン症(PA)
3 副腎性クッシング症候群
4 褐色細胞腫・パラガングリオーマ
5章 骨・カルシウム代謝疾患
1 カルシウム,リン異常の鑑別診断
2 副甲状腺機能亢進症
3 骨粗鬆症
6章 性腺疾患
1 性腺機能低下症
2 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
3 女性の更年期障害
4 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH 症候群)
7章 その他の疾患
1 内分泌疾患に伴う糖尿病
2 二次性肥満
3 薬剤による内分泌異常(ステロイド、免疫チェックポイント阻害薬、分子標的薬など)
4 指定難病への対応
8章 内分泌緊急症とその対応
1 下垂体卒中
2 甲状腺クリーゼ
3 粘液水腫性昏睡
4 高カルシウム血症性クリーゼ
5 副腎クリーゼ
序文
糖尿病診療に比べて,内分泌疾患診療は難しいと感じる先生が少なくないと思います。内分泌疾患は多岐にわたるだけでなく,疾患ごとに病態・診断・治療が異なること,そしてそれらを多く経験するのが難しいことが一因ではないかと思います。
もちろん内分泌疾患の中には,甲状腺疾患や骨粗鬆症,電解質異常などのコモンディジースも多いため,得手不得手に関わらず,診療する機会は必ずあります。また,日本専門医機構による内分泌代謝・糖尿病内科領域専門医の認定も新たに開始されました。これらのことは,これから勉強される若い先生は糖尿病・内分泌疾患のいずれも,きちんと診療できる必要があることを意味します。
内分泌疾患については,教科書を読んでもピンとこないことが多いかもしれません。それは病態の本質や診断・治療のコツが理解しにくいことによるものです。本書はまさにその点を,エキスパートから直接伝授してもらえるガイドブックとして企画しました。
疾患ごとの章立てとし,解説内容は以下の構成となります。冒頭に「クリニカルパール」「ピットフォール」を提示して診療の重要点をまとめ,「病態を知って気づきを得よう」「診断のきっかけを見逃すな」「検査をどう組み立てるか?〜検査結果判断のコツ」で病態の考え方や診断の基本的な流れをわかりやすくまとめました。以降は,「ガイドラインの要点」「専門医への紹介のタイミングを見誤らないために」「知っておきたいプロの治療戦略」「患者指導のコツ」「非専門医からのQ&A~専門医に聞きたいこと」と続き,プライマリ・ケアにおける内分泌疾患診療に役立つ事柄を,濃淡をつけて解説しました。
普通のガイドブックとは一味違い,各疾患のエキスパートに大切な知恵とエッセンスを惜しみなく記載頂いています。ガイドラインと併せて読むとさらに理解が深まるでしょう。本書を読まれた先生方が楽しみながら,さらにレベルアップした内分泌疾患診療を行うことができるよう祈念しております。
奈良県立医科大学糖尿病・内分泌内科学講座教授
高橋 裕