監修: | 小川智也(埼玉医科大学総合医療センター腎・高血圧内科 教授,血液浄化センター長) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 224頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2024年12月13日 |
ISBN: | 978-4-7849-3500-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
●患者さんと家族に寄り添った情報提供とサポートを強化するには,実際どうすればよいのか?20年以上じんぞう病教室を開催している経験から,実践的な情報をまとめました。
●導入期加算3の算定施設ではどのような説明がなされているのか,具体的事例をまじえて解説しています。
●腎代替療法の研修,セミナーなどに役立つ1冊です。
●医師,看護師,臨床工学技士,公認心理師など,チームの各職種が解説しています。
序─医療者の配慮により,透析・移植患者がより元気に─
私が腎代替療法の分野に携わり始めてから30年近くが経ちました。血液透析,腹膜透析,腎移植を含む腎代替療法へのアプローチは,近年は患者さん自身が治療選択に積極的に関わるようになり,また,特に高齢化に伴い,患者さんとその家族,そして社会全体を巻き込んだトータルケアが重要になってきました。
残念ながら,適切な療法選択についてはまだ課題が残ります。患者さんの背景などを十分把握する前に担当医の推奨する治療法が選ばれてしまうことも少なくなく,患者さんや家族のニーズに寄り添った医療提供が十分ではない場合があります。私たちの施設では20年以上前からじんぞう病教室を開催し,病気の基礎から透析・移植についてまで,幅広い教育を行ってきました。しかし,それでも個々の患者さんへの対応が不十分でしたので,2006年からは,透析療法選択外来を開始し,患者さんと家族に寄り添った情報提供とサポートを強化してきました。これまで数多くの患者さんが,この取り組みを通じて自らの状況に合った治療選択をする援助を受けてこられました。
本書では,長年の経験から得た知見をもとに,患者さんにとって最適な腎代替療法選択へ導くための医療スタッフの実践的な経験や情報をまとめました。日々の診療で忙しい中でも,患者さん一人ひとりに寄り添った医療の提供を心がけることの重要性を,具体的な事例を交えて解説しています。
適切な治療選択を支援することで,その後の透析治療にも前向きに取り組まれ,患者さんの満足度が上がるとともに,診療報酬の確保にもつながっていくと思われます。
近年は診療報酬上の加算が付いたことで,多くの施設で腎代替療法選択支援が行われるようになってきました。本書によって,より良い療法選択に少しでも貢献できれば幸いです。
最後に,本書の発行にあたり,ご協力頂いた血液浄化センターのスタッフの皆様に深く感謝します。今後も,腎疾患を持つ患者さんがより健やかに過ごせるよう,私たちは努力を続けてまいります。
埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科教授 血液浄化センター長 小川智也