経済協力開発機構(OECD)は10日、加盟35カ国の医療に関する統計をまとめた報告書『図表で見る医療2017年版』(Health at a Glance 2017)を公表した。全加盟国の平均寿命は80.6歳で、1970年以降10年以上伸びた。
平均寿命が最も長かったのは日本(83.9歳)で、スペインとスイス(83.0歳)がこれに続いていた。報告書では、健康的な生活を送り、所得と学歴が高いほど寿命が延びる傾向がみられ、医療の質の改善も寄与したと指摘。喫煙率とアルコール消費量が半減すると寿命は13カ月、1人当たり医療支出が10%増加すると平均3.5カ月延伸すると分析している。
医療支出の対国内総生産(GDP)比率は、加盟国平均が9.0%。最も高かったのは米国(17.2%)で、スイス(12.4%)、ドイツ(11.3%)、スウェーデンとフランス(11.0%)と続き、日本(10.9%)は第6位の水準だった。
日本については、人口当たりの認知症有病率が2.3%(2017年)と加盟国中で最も高く、2037年までに3.8%まで増加すると予測している。また、入院日数の長さと病院で提供される長期ケアの割合の大きさに言及し、「在宅で治療を受けるべき患者が社会的ニーズのために入院させられることが一因」と分析。退院支援の充実やプライマリケアへのアクセスを高めることなどを通じて、医療・介護制度間の連携と効率化を進めるよう提言している。
日本の医療における設備投資の割合は、対GDP比1.1%で、加盟国平均(0.5%)の2倍以上となっていた。報告書では、患者1人当たりのMRIやCTの数が多く、使用回数も多いのに対し、機器当たりの使用率が低いことを例に挙げ、「投資には生産性を高める観点も必要だ」としている。