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マラソン中の心停止[炉辺閑話]

No.4889 (2018年01月06日発行) P.101

小嵐正治 (日本医師ジョガーズ連盟代表理事)

登録日: 2018-01-07

最終更新日: 2017-12-20

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私は趣味でマラソンをしている。運動後は爽快感があり、物事に対する積極性が出てくる。運動で疲れたのにまた運動したくなる、というのは、体が要求しているからだろう。文明の進歩がもたらした運動不足を解消し、積極的になることで健康寿命を伸ばすことは非常に大切なことであり、医療者は疾病の治療と同等に、運動指導を重視すべきであると考える。

11年前に第1回東京マラソンが開催されてから大規模マラソンが各地で開催されるようになり、参加者は急増した。そんな中で、不幸にも心停止となるランナーが散見されるようになった。今まで元気に走っていた人が急に倒れてそのまま死んでしまうとは、とんでもないことである。統計的には5万人に1人の割合で発生すると言われている。

運動中の突然死はマラソンだけではない。以前から、学校行事やスポーツイベントでも指摘されており、公共施設、学校、駅、量販店等にAEDを配備することが必須となっている。しかし、マラソンの場合、コースは長く、現場は救護テントから遠いのが常であり、早急の処置はできない。そこで考案されたのがランニングドクターであり、走る医師の団体である日医ジョガーズが行っている。初めからランナーの走力に応じた走る医師を混ぜておいてスタートするという考えである。現場の第一発見者はすぐ後ろを走っているランナーだが、顔を怪我していたり、あえぎ呼吸であったり、傷病者を見慣れていない素人にはすぐ手が出せない。そこに駆けつけてきたランニングドクターは指導的立場で現場対応に当たることができる。また、AED自転車隊は位置情報端末を持ち、携帯電話などで連絡可能である。

いかに早く胸骨圧迫を開始し脳循環を確保するか、いかに早くAEDを作動させるか、が救命のカギになる。AEDが一般化する以前のデータと比べると、2007年以後は助かるのが当たり前までの救命率向上が見られる。

現在、日医ジョガーズ会員数は全国に400人で、年間35大会の医療支援活動を行っている。趣味のマラソンを通じて救命活動としての社会貢献ができることを幸せと感じている。

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