本学医学部医学科は平成29年度に日本医学教育評価機構(JACME)による医学教育分野別評価を受審しました。JACMEは、「世界医学教育連盟(WFME)の国際基準をふまえて医学教育プログラムを公正かつ適正に評価することを目的とする」(JACME定款より引用)ということで設立されたもので、2017年3月にWFMEより医学教育分野別評価の認定機関として認証され、2017年4月から医学教育分野別評価の正式実施が開始されました。
医学教育プログラムの国際基準の中で、従来のわが国における医学教育プログラムと根本的に異なる点は、従来のプログラムがプロセス基盤型であったのに対してアウトカム基盤型である、ということです。プロセス基盤型というのは、教員側から学生に何を教えるか、というプログラムであるのに対して、アウトカム基盤型というのは、学生をどのような医師に育てるか、というプログラムです。教員側からすると、これまでは医師国家試験に合格すれば責任を果たしたことになっていたわけですが、国際基準からすると、どのような医師に育ったかまで見きわめる責任がある、ということです。そのためには、卒業生が診療、研究、医療、行政等で社会貢献できているか否かを追跡調査し、その結果を分析して、医学教育プログラムを改良していく必要があるわけですが、卒業生のキャリアを追跡するのは、2005年4月の個人情報保護法の全面施行後はきわめて困難になっています。辛うじて同窓会の名簿作成時の情報収集が役に立っていますが、これとても回収率は高いとは言えないのが現状です。
2017年10月に福井で開催された国立大学医学部長会議でもこの件が話題となり、厚生労働省からの来賓に対して「厚生労働省は2年に1度医師調査をしているのだから、その調査結果を大学にフィードバックして頂きたい」との要望が出されていました。良医の育成を介して社会貢献するのが大学に課された使命ですので、大学あるいは行政側からこのような調査がある際には、皆様に是非ともご協力頂きたいと思います。