【質問者】
伊井俊貴 名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野
専門家にコンサルトするタイミングは大きくわけて2つあります。1つ目は診断に悩むとき,2つ目は2年治療しても発作がゼロにならないときです。
まず診断について述べます。かつては「1回のてんかん発作ではてんかんと診断しない」とされていましたが,近年は,「少なくとも1回の発作があり,病歴・検査から再発のリスクが高いと判断された場合,てんかんと診断し治療を行う」ようになりました。しかし,「問診などからてんかん発作がありそうで,脳波は微妙。疑いがあるから,てんかんと診断してしまい治療しよう」といった姿勢には注意が必要です。診断が人生の重要な選択(たとえば,運転免許を含む資格・免許への影響が生じえますし,また,てんかん患者の妊娠に関しては計画妊娠が推奨されています)に大きな影響を与えることを忘れないようにしましょう。
てんかんの診断は慎重に,失神・心因性非てんかん発作・アルコール離脱などを鑑別しながら行う必要があります。加えて,投薬の選択が異なるため,焦点性か全般性か,正確な類型分類も求められます。診断および類型分類においては,詳細な病歴聴取に加え,身体診察・脳波検査・画像検査が重要となりますが,長時間脳波ビデオモニタリング検査を行って初めて確定することも多々あります。外来診察の限界を知り,診断が困難な際は長時間脳波ビデオモニタリング検査を行える施設等の専門家へコンサルトしましょう。
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