□完全房室ブロックは,主に刺激伝導系の器質的障害による房室伝導が完全途絶し,徐脈を呈する病態である1)2)。
□心拍は補充収縮に依存した補充調律となり,心室拍数は著しく低下し心拍出量が減少する。心不全症状や,一過性心停止によるアダムス・ストークス発作など脳虚血症状を伴いやすい。また,この補充収縮のQRS波形より,本来,ヒス束電位図で分類されたブロック部位を想定できる。
□一方,時に副交感神経緊張による機能的な一過性完全房室ブロックも認め,不完全房室ブロック同様に薬物や電解質異常,急性冠症候群に伴う場合も認められる。
□循環不全を呈する場合は,ペーシングによる心室拍数の確保が必須であり,一過性の原因であれば一時的ペーシング,器質的伝導障害例では恒久的ペーシングを行う。
□徐脈による心拍出量低下をきたし,労作性呼吸困難,運動耐容能低下となる。
□代償的1回拍出量が増加し,動悸が起こる。
□一過性心停止により,めまい,失神をきたす。
□房室伝導の途絶→心房収縮(P波)と無関係にQRS波が低頻度に出現する。
□心拍は,ブロック直下から出現する補充収縮に依存する。
□補充収縮の心拍数はブロック部位に依存し,下位ブロックになるほど補充収縮は遅く不安定3)である。
□基礎調律が心房細動であれば,RR一定の補充調律となる。
□胸部X線検査で心陰影拡大,肺うっ血像=心不全の併発を確認する。
□血液検査:BNP値上昇。
□心臓超音波検査:基礎心疾患の検索,心機能の確認を行う。
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