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QT延長症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-14
清水 渉 (日本医科大学大学院医学研究科循環器内科学分野大学院教授)
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  • ■疾患メモ

    QT延長症候群(long QT syndrome:LQTS)は,心電図上のQT時間延長とtorsades de pointes(TdP)と称される多形性心室頻拍を認め,失神や突然死の原因となる症候群である。

    先天性LQTSでは,50~75%の患者でイオンチャネルに関連する遺伝子上に変異を認める。

    頻度は2000人に1人とされ,性差は若干女性が多い。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    普段は無症状であるが,TdP発作時に,動悸,眼前暗黒感,失神を認める。

    心室細動(ventricular fibrillation:Vf)に移行する場合には,突然死を引き起こす。

    LQT1,LQT2,LQT3では,遺伝子型により臨床症状や予後が異なる。

    LQT1では,症状の多くは運動中に起こり,特に水泳中に多い。

    LQT2の症状の多くは,情動ストレス(恐怖や驚愕),音刺激(目覚まし時計など)による覚醒時など,急激に交感神経が緊張する状態で起こる。

    LQT3では,睡眠中や安静時に心事故が多い。

    【検査所見】

    遺伝子診断により,先天性LQTSのRomano-Ward症候群では15個の遺伝子型が報告されているが,頻度はLQT1,LQT2,LQT3が多く(それぞれ40%,40%,10%),全体の90%以上を占める。

    12誘導心電図で,QT時間延長〔修正QT(QTc)時間≧440ms〕とともに,T波の形態異常を認め,LQT1では幅広い(broad-based)T波,LQT2ではノッチを伴う平低(low-amplitude,notched)T波,LQT3ではST部分の長い(late-appearing)T波が特徴的である。

    運動負荷試験やエピネフリン負荷試験により,LQT1ではQTc時間の延長を認める点で診断に有用である。

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