□ヒス束より末梢の下位刺激伝導系の伝導障害により顕性化する。その内,左脚の伝導ブロックによるものが左脚ブロック(left bundle branch block:LBBB)である。
□左脚は前枝,後枝の2束からなるとされるが,実は中間枝を加えた3束を呈するものが多い。
□LBBBは,中隔全体に拡がる広範囲の束枝の伝導障害により形成される。また,右脚ブロック(RBBB)とは異なり,基礎心疾患を伴うことが多いため,LBBB自体が心不全による入院や予後を規定する独立した危険因子である。
□LBBBでは,左室収縮の同期性が失われ,ポンプ効率が悪化する。これにより心不全をきたすことが問題である。
□LBBBを認める患者では,虚血性心疾患などの基礎疾患を伴うことが多く,その際は心筋虚血症状,心不全症状を呈する。
□LBBBでは,左室自由壁,特に左室側壁と中隔側の間で,心筋興奮のタイミングが大きくずれるために,左室収縮の同期性が低下する(非同期性の亢進:dyssynchrony)。このため,心ポンプ効率が低下し,心拍出量が低下することから,心不全の発生率が高く,予後も不良である1)。
□心電図診断2):I,aVl,V5,V6誘導で,ノッチかスラー波を伴う幅の広いR波を認める。V5,V6誘導ではRSパターンを呈することもある。V1~V2の前胸部誘導では,rSパターンで深い幅の広いS波を認める。稀にQSパターンを呈することがある。I,V5,V6誘導でq波を認めない。
□QRS幅の基準:成人では完全LBBBはQRS幅≧120ms。不完全LBBBは110~120msの間とされる。16歳以下の小児では成人より短い数値に設定されている。
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