株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

僧帽弁狭窄症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-12
尾辻 豊 (産業医科大学第2内科学教授)
    • 1
    • 2
  • next
  • ■疾患メモ

    僧帽弁開放が制限され,左房から左室への血液移動が困難となる。

    左房圧が上昇し,心拍出量も減少し,心不全を起こす。

    心房細動となる。心房細動は,一方では頻脈となり拡張時間を短縮させ,さらに心不全を悪化させ,他方では左房壁運動を低下させ,左房内血流うっ滞を生じ左房(特に左心耳)血栓となり,全身の塞栓症の原因となる。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    心不全症状(労作時動悸・息切れ・全身倦怠感)が出現する。

    塞栓症により,麻痺や構音障害もしばしばみられる。

    身体所見としては,脈拍不整,1音の亢進・心尖部拡張期ランブルが特徴的である。

    【検査所見】

    心エコーで診断する。僧帽弁の開放が制限され,左房が拡大する。

    僧帽弁狭窄症の原因は2つある。1つはリウマチ性であり,弁輪は拡大し(図1,白矢印),僧帽弁尖全体が肥厚し,可動性が低下する(図1,青矢印)。

    もう1つは変性性である。弁輪の著明な石灰化・肥厚(図2,白矢印)のために,弁輪内側サイズは著明に減少し,その先に可動性が比較的保たれた小さな弁尖(図2,青矢印)が残る。

    04_23_僧帽弁狭窄症

    04_23_僧帽弁狭窄症

    変性性僧帽弁狭窄症には,後述するカテーテル治療〔経皮経静脈的僧帽弁交連切開術(percutaneous transvenous mitral commissurotomy:PTMC)〕は適応できず,外科的弁置換術も困難なことが多いので,リウマチ性か変性性かを鑑別することは重要である。

    1190疾患を網羅した最新版
    1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中


    PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
    コチラより

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top