①徐脈(拍):心拍数<60/分(または<50/分)
②R-R間隔:整
③視認可能な(洞性)P波の欠如
④基線レベルに不規則な細動(f)波
今回のテーマは「完全房室ブロックを伴う心房細動」です。徐脈と頻脈が合わさったような,一見矛盾する病態の組み合わせですが,しばしば遭遇する臨床的に重要なテーマです。言葉だけ聞くと,なんだか複雑そうに感じてしまうかもしれません。いつものように詳しく解説していきたいと思います。
今回扱いたい心電図所見は,2つの内容からなっています。まずは「心房細動」〔atrial fibrillation(AF)〕です。基本的な診断については既に扱っています(No.5121,第6回参照)。(多くの)AFが満たす“3条件”を思い出しましょう。
1. R-R間隔:不整(絶対性不整脈)
2. 洞性P波の代わりに細動(f)波
3. 頻脈(拍)傾向
今回の病態では,1と3は満たされることはなく,基本的に2でAFと診断していくことになります。