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急速進行性糸球体腎炎

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-15
山縣邦弘 (筑波大学医学医療系臨床医学域腎臓内科学教授)
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  • ■疾患メモ

    急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)は腎炎性尿所見(血尿,蛋白尿,円柱尿),貧血を伴い,数週から数カ月の経過で急速に腎機能の障害をきたす臨床症候群であり,単一の疾患を示すものではない。

    抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)陽性症例が最も多い。

    高齢者に多い。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    自覚症状としては,全身倦怠感(73.6%),発熱(51.2%),食思不振(60.2%),上気道炎症状(33.5%),関節痛(18.7%),悪心(29.0%),体重減少(33.5%)などの非特異的症状が大半である1)

    自覚症状はなく,検尿異常,血清クレアチニン値異常の精査で診断に至る例も多い。

    【検査所見】

    腎機能障害を反映して,BUN・血清クレアチニン値の上昇,糸球体濾過値(GFR)の低下を認める。

    腎機能の悪化スピードは原疾患により異なるが,3カ月で30%以上のGFR低下を目安とする。

    尿所見では,血尿は必発,時に肉眼的血尿を認め,蛋白尿は軽度からネフローゼレベルまで様々である。

    炎症所見としてのCRP高値,赤沈の亢進を認める。

    正球性正色素性貧血を認め,その程度は腎機能の割に高度のことが多い。

    RPGN症例の49.8%がMPO-ANCA陽性で,2.8%がPR3-ANCA陽性,5.0%が抗GBM抗体陽性である。

    腎のサイズは正常から軽度腫大している。

    胸部単純X線異常を42.4%の患者に認める。主な異常としては間質性肺炎像(24.5%)や肺胞出血(10.4%)であり1),肺CT検査が病変の評価には有用である。

    腎生検組織においては,多数の糸球体に細胞性から線維細胞性の半月体の形成を認める半月体形成性(管外増殖性)壊死性糸球体腎炎〔crescentic(extracapillary)and necrotic glomerulonephritis〕が典型像である。

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