慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)は末期腎不全の原因となるだけでなく,心血管疾患(CVD)発症や死亡のリスクとなる。CKDの有病率は約10%であり,わが国では増加傾向にある。最近,CKDに対する新たな治療薬が登場し,CKD診療が大きく変わりつつある。
CKDは以下の①,②のいずれか,または両方が3カ月を超えて持続することで診断する。
①尿異常,画像診断,血液検査,病理診断で腎障害の存在が明らか,特に0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要である。
②GFR 60mL/分/1.73m2未満。
eGFRと蛋白尿(アルブミン尿)はそれぞれ,末期腎不全,CVD,死亡に対する独立したリスク因子である。CKDはeGFRと蛋白尿(アルブミン尿)の程度により,重症度分類がされる。CKDは様々な腎疾患を統括する総称であり,その原因によって治療や予後が異なる。よってCKDと診断した際にはその原因を検索するため,必要に応じて腎生検を行う。原疾患がわかれば,たとえば「CKD G3aA2(IgA腎症),CKD G4A1(高血圧性腎硬化症)」のようにCKD重症度に併記する(CGA分類)。
CGA分類における評価に加え,一定期間におけるeGFRの低下%とeGFRスロープ(傾き)も腎機能悪化を評価する因子として考慮する。特に腎機能が急速に低下する症例においては,その原因を特定し時期を逃さず適切な治療を行う。
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