マグネシウムは体内に約25g存在し,その半分が骨に,約45%が軟部組織に,細胞外液には約1%が存在している。したがって,血清マグネシウムは必ずしも体内マグネシウム量を反映していない。血清マグネシウムの正常値は1.8~2.7mg/dLであり,細胞において種々の酵素活性を持ち,カルシウムと共同して神経・筋の興奮に重要な役割を果たしている。ヒトは通常の食事から1日300mgのマグネシウムを摂取し,うち100mgが腸管から吸収され,同じ量が尿中に排泄される。他の電解質との違いは,ホルモンの影響を受けないことであるが,循環器,糖尿病,腎疾患などとの関連が強いとされている。
正常値は1.8~2.7mg/dLであるが,高マグネシウム血症においては,悪心・嘔吐などの消化器症状,心電図異常(PR,QT延長)を示す。また低マグネシウム血症では,全身倦怠感,食欲低下,筋力低下,振戦,めまいなどの神経症状を,高度になると心電図異常(QT延長,torsades de pointesを含む不整脈)を呈する。病歴や身体症状を伴わない心電図異常では,鑑別疾患として検討する必要がある。
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