□肉離れとは,スポーツ動作中に拮抗筋の収縮や介達外力によって生じる筋の過伸展損傷である。典型的には,羽状筋の筋腱(膜)移行部が遠心性収縮により損傷し,重症例では腱や付着部の断裂となる。
□直達外力による筋打撲傷とは異なる病態であり,ハムストリングス(大腿二頭筋長頭や半膜様筋),下腿三頭筋(ヒラメ筋や腓腹筋内側頭),大腿四頭筋(大腿直筋)および内転筋群など,下肢の筋に起こりやすい。
□自発痛は,鋭い,力の抜けるような痛みであり,重症例では衝撃感を伴う。
□動作時痛が強い場合には,歩行や坐位が困難となる。
□圧痛,腫脹,硬結および陥凹などは,損傷の程度による。受傷後早期の症状ほど損傷部位や程度を把握するのに有用となる。
□ストレッチ痛も重症度を把握するのに有用であり,さらに肉離れ後の経過観察にも役立つ。
□ストレッチ痛や運動(特に遠心性収縮)時痛の消失は,積極的なリハビリテーションを開始する目安となる。
□画像診断では,超音波検査やMRIが有用である。
□特に広範囲にわたって損傷部が描出できるMRIが優れている。
□大腿二頭筋長頭近位部の肉離れのMRIを例にした重症度分類を示す(図)1)。
・軽度(Ⅰ型):出血所見のみが認められる(図a)。
・中等度(Ⅱ型):筋腱移行部,特に腱膜を損傷するタイプである(図b)。
・重度(Ⅲ型):筋腱の断裂であり,広義には腱断裂や付着部の裂離損傷も含まれる(図c)。
□臨床的には軽症型と中等症型が多く,重症型は数%と稀である。
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