株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

骨形成不全症[私の治療]

No.5277 (2025年06月14日発行) P.45

高畑雅彦 (獨協医科大学整形外科学准教授)

登録日: 2025-06-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 骨形成不全症(osteogenesis imperfecta:OI)は,全身の骨脆弱性による易骨折性や進行性の骨変形をきたす先天性疾患である。発生頻度は約2~3万人に1人とされ,常染色体顕性(優性)遺伝のものと常染色体潜性(劣性)遺伝のものがある。90%以上は,Ⅰ型コラーゲンの遺伝子変異(COL1A1,COL1A2)による質的あるいは量的異常が原因で発症する。Sillence臨床分類によりⅠ型(非変形型),Ⅱ型(周産期致死型),Ⅲ型(変形進行型),Ⅳ型(中等症型)などに分類される。

    ▶診断のポイント

    臨床像は多彩で,出生時に骨折を認める症例から生涯にわたって数回しか骨折しない症例まで,重症度も様々である。小児の繰り返す骨折では,常に本疾患を念頭に置く。

    実際の診断は,下記に示す症状(A)と検査所見(B)を評価し,鑑別疾患(C)を除外することで行う。正確な診断が必要な場合は,遺伝学的検査(D)を行う。definiteは,Aの3項目以上+Bの3項目以上+D,またはAの4項目以上+Bの4項目以上を満たすもの,probableは,Aの3項目以上+Bの2項目以上を満たすものである。

    【A(症状)】

    ①骨脆弱性症状(軽微な外傷による2回以上の骨折,進行性の骨変形),②成長障害(−2SD以下の低身長),③青色強膜,④歯牙形成不全,⑤難聴(30dB以上の低下で小さな声の会話が聞き取りにくい),⑥家族歴あり,⑦小児期の骨折歴

    【B(検査所見)】

    ①長管骨の変形を伴う骨折,②変形を伴う細い長管骨,③頭蓋骨のウォルム骨(Wormian bone。頭蓋骨縫合線に沿ってみられる小さなモザイク状の骨),④椎骨圧迫骨折,⑤骨密度低下(同年齢平均比Z-score 80%未満)

    【C(鑑別疾患)】

    虐待児症候群,原発性骨粗鬆症,低ホスファターゼ症,多骨性線維性骨異形成症,Ehlers Danlos症候群

    【D(遺伝学的検査)】

    COL1A1,COL1A2,IFITM5,SERPINF1,CRTAP,LEPRE1,PPIB,SERPINH1,FKBP10,SP7,BMP1,TMEM38B,WNT1,CREB3L1,SPARC,TENT5A(FAM46A),MBTPS2,MESD遺伝子の変異

    残り1,198文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    公立小浜温泉病院

    勤務形態: 常勤
    募集科目: 消化器内科 2名、呼吸器内科・循環器内科・腎臓内科(泌尿器科)・整形外科 各1名
    勤務地: 長崎県雲仙市

    公立小浜温泉病院は、国より移譲を受けて、雲仙市と南島原市で組織する雲仙・南島原保健組合(一部事務組合)が開設する公設民営病院です。
    現在、指定管理者制度により医療法人社団 苑田会様へ病院の管理運営を行っていただいております。
    2020年3月に新築移転し、2021年4月に病院名を公立新小浜病院から「公立小浜温泉病院」に変更しました。
    6階建で波穏やかな橘湾の眺望を望むデイルームを配置し、夕日が橘湾に沈む様子はすばらしいロケーションとなっております。

    当病院は島原半島の二次救急医療体制の救急告示病院として救急患者を受け入れています。
    又、地域から強い要望がありました透析業務を2020年4月から開始いたしました。

    ●人口(島原半島二次医療圏の雲仙市、南島原市、島原市):126,764人(令和2年国勢調査)
    今後はさらに、少子高齢化に対応した訪問診療、訪問看護、訪問介護体制が求められています。又、地域の特色を生かした温泉療法(古くから湯治場として有名で、泉質は塩泉で温泉熱量は日本一)を取り入れてリハビリ療法を充実させた病院を構築していきたいと考えています。

    もっと見る

    関連物件情報

    もっと見る

    page top