□鼓膜炎は大きく急性鼓膜炎と慢性鼓膜炎に分類されることが多く,その病態は様々である。
□急性鼓膜炎は水疱性鼓膜炎とも呼ばれ,鼓膜表面から外耳道深部にかけて単胞性あるいは多胞性の水疱が形成される病態で,上気道感染に伴って発症することが多いと考えられている。
□慢性鼓膜炎は,鼓膜表面に炎症性肉芽やびらんが認められ,耳漏が継続する病態である。時に慢性中耳炎を合併することがあるが,肉芽の存在により小さな穿孔が確認できない場合もある。鼓膜炎の発症原因の詳細はいまだ不明であり,その中には難治性の鼓膜炎も存在するため治療にあたり十分な注意が必要である。
□急性鼓膜炎の自覚症状としては耳痛が主症状で,時に難聴,耳閉感,耳鳴を伴うこともある。慢性鼓膜炎の自覚症状としては耳漏が主体であるが,難聴,耳閉感,耳鳴を伴うことがある。
□急性鼓膜炎では鼓膜表面に水疱形成が認められ,1~数個みられることがある。発赤のある鼓膜上皮下に黄色の内溶液が透見され(図),水疱が破裂すると漿液性の液体が流出する。時に血性の滲出液が流出する場合もある。
□水疱の液体からの細菌検査では急性中耳炎と同様に,肺炎球菌,インフルエンザ菌が検出されることが多い。慢性鼓膜炎は鼓膜表面に肉芽あるいはびらんがあり,慢性の耳漏が主症状である。基本的に鼓室内には病変はないが,時に小穿孔を伴い,急性,慢性中耳炎を合併することがある。
1190疾患を網羅した最新版
1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中
PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
➡コチラより