□好酸球性中耳炎は,膠状の耳漏と多数の好酸球の浸潤を特徴とする難治性の慢性中耳炎である1)。
□好酸球性中耳炎診断基準(案)を表に示した2)。
□気管支喘息,副鼻腔炎が好酸球性中耳炎に先行して発症する。好酸球性中耳炎の90%で気管支喘息を合併する。また,成人発症型喘息,アスピリン喘息に合併することが多い。好酸球性中耳炎の74~85%の症例で副鼻腔炎を合併し,好酸球性副鼻腔炎の10~30%が好酸球性中耳炎を合併する。成人発症の気管支喘息,好酸球性副鼻腔炎患者が耳閉塞感,耳のかゆみを訴えた場合は好酸球性中耳炎を疑う。
□鼓膜穿孔の有無による分類:滲出性中耳炎型:54%,慢性中耳炎型:46%(うち26%は肉芽型)3)。
□膠状耳漏:除去に難渋する。耳漏のスメアまたはホルマリンに固定した貯留物や,肉芽組織に多数の好酸球浸潤を認める。
□難聴,耳閉塞感・耳のそう痒感:初期には伝音難聴を呈するが,経過とともに48~73%に骨導値の悪化をきたし,聾となる例が6~21%ある。治療により粘膜腫脹が軽快すると,耳管開放症の症状として耳閉塞感を訴えることもある。
□鼓膜所見:滲出性中耳炎型では,鼓室内の膠状貯留物のため鼓膜は蒼白に混濁,一見肥厚しているように見える。時に貯留物が排泄されないため鼓膜は膨隆する(図1)が,痛みは訴えない。慢性中耳炎型では,鼓室粘膜のポリープ状浮腫,重症例では鼓膜穿孔から突出する肉芽が観察される(図2)。発症時期に差があっても約8割は両側性のため,一側罹患例では対側耳所見にも留意する。
□CT:初期は,耳管鼓室口を中心にした下・中鼓室の陰影がみられる。進行すると乳突洞,乳突蜂巣にもびまん性陰影を認める。骨破壊はない。
□血液検査:末梢血好酸球は平均12.1%とやや高値である。時に20%以上となり,鼻・喘息症状も悪化するので,末梢血好酸球数に留意する。好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)陰性を確認する。
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