□真珠腫性中耳炎は大きく先天性と後天性に分類され,後天性はさらに弛緩部型真珠腫と緊張部型真珠腫に大きく分類される。鼓膜穿孔縁から上皮が侵入する二次性真珠腫も存在する。
□現在,日本耳科学会より病態の概念,進展度などが中耳真珠腫進展度分類2015年改訂案として提言されている。
□耳小骨の破壊による伝音難聴,耳漏などが生じる。進行すると骨迷路破壊によるめまいや感音難聴,顔面神経麻痺などの側頭骨内合併症や髄膜炎,脳膿瘍など生命に関わる頭蓋内合併症などを生じる。
□先天性真珠腫では無症状のまま検診などで指摘される例も多く,近年では内視鏡などの医療光学機器の進歩により低年齢での発見例が増加している。
□鼓膜所見:鼓膜に穿孔や肉芽がなく,鼓室腔に白色塊が透見されるため比較的容易に診断される(図1)。稀ではあるが,乳突腔型,錐体部型は上記の合併症を呈することにより成人になってから発見されることもある。
□鼓膜所見:鼓膜弛緩部や緊張部に陥凹や痂皮・肉芽形成などが生じている場合が多く,診断は容易につく(図2)。
□側頭骨CT:骨破壊性病変を伴う軟部濃度陰影として認められる。特徴的な所見として,弛緩部型真珠腫では上鼓室外側壁(scutum)の鈍化を認めることが多い(図3)。
□側頭骨MRI:一般的にT1強調像で脳実質とほぼ等信号,T2強調像で高信号を呈することが多い。ガドリニウムDTPAによる造影MRI検査では,辺縁のみの増強効果を伴う。近年ではnon-echo-planar法による拡散強調像での診断が普及してきている。
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