□先天性難聴は,出生1000人に1人認められる頻度の高い先天性疾患の1つである。これに小児期に発症する進行性難聴を加えると,おおよそ600人に1人の割合で小児難聴患者が見出されるとされる。
□新生児聴覚スクリーニングの普及につれて,早期診断例が増えている。
□約60~70%は遺伝性難聴,残りの30~40%が非遺伝性難聴(感染,外傷,薬物などの環境要因)によるものとされている(図11))。
□遺伝性難聴の約70%は難聴のみが症状である"非症候群性難聴"であり,現在までに80余りの原因遺伝子が同定されている。約30%は,難聴のほかに随伴症状を呈する"症候群性難聴"であり,多くの疾患群が知られている(図1)。
□非遺伝性の難聴では,先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染による難聴が多いことが報告されている(図1)。
□遺伝性難聴の約70%は難聴のみ,約30%は難聴のほかにも様々な症状を伴う(後述)。
□先天性難聴は新生児聴覚スクリーニングにより発見されることが多いが,中にはスクリーニング未受診例や遅発性進行性に発症し発見される症例もある。また,症候群性難聴では難聴のほかに精神発達遅滞や筋肉骨格系,腎尿路系,神経系,眼,色素異常,代謝異常などの様々な随伴症状がみられる。
□診断の流れを図2に示した。その後の治療には,特に難聴の確定診断と原因診断が重要である。
□確定診断:聴性脳幹反応(auditory brain-stem response:ABR),聴性定常反応(auditory steady state response:ASSR),条件詮索反応聴力検査(conditional orientation audiometry:COR)などを組み合わせて診断する。
□原因診断:画像診断,遺伝子診断が重要である。先天性難聴の遺伝子診断は平成24年から保険収載されている。
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