声帯結節や声帯ポリープは,音声の酷使や不適切な発声により声帯の膜様部に炎症性の腫瘤性病変が生じ,気息性嗄声(かすれ声)や粗糙性嗄声(がらがら声)をきたす疾患である。一般に,声帯結節は声帯の両側に,声帯ポリープは片側に発生する。
気息性嗄声や粗糙性嗄声を主訴に来院した患者に対し,内視鏡で診断する。保育士,教師,営業職など,声の使用に職業性が背景としてあることが多い。声帯結節は両側声帯膜様部の中央,声帯ポリープは片側声帯膜様部の中央に生じる数mmの隆起性病変である。なお,肉眼的にはこれらの疾患に酷似した所見であっても,悪性腫瘍の症例があることから,喫煙歴や飲酒歴を聴取し,声帯振動をスローモーションで幻視する喉頭ストロボスコピー,そして狭帯域光観察(NBI)に代表される画像強調観察(IEE)を用いた慎重な内視鏡検査を行い,振動の不良部位や不整な粘膜の存在を含めた精査を行う。疾患の治療前後の喉頭機能につき,聴覚印象評価,内視鏡での評価,音響分析,空気力学的検査,そして自覚的評価を含む総合的な評価を行う。また,胃食道逆流症(GERD),喘息,アレルギーといった疾患は結節やポリープの原因・増悪因子であり,併存する場合は治療が必要となる。そのため,これらの疾患についても問診や検査を行う。
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