鼻骨骨折は,頭蓋顎顔面領域の外傷で遭遇する頻度が高い。若年男性に比較的多く,原因は,滑落事故,喧嘩外傷,スポーツ外傷,交通外傷が多い1)。重度の鼻骨骨折症例のうち,78.8%において処置の必要な鼻中隔骨折が併発する2)。
治療の適応は,骨折に伴う外鼻変形(整容の変化)と,骨折に伴う鼻閉(機能障害)があるかどうか,である。
鼻骨は非常に薄い骨であり,単純X線での鼻骨骨折検出は難しい。CTでの精査が有用である。スライスは0.5~1.0mmの薄さで,3方向から撮影する。そうすることで鼻骨を立体的にとらえることができる。3DCTも有効である。水平断で外鼻の横方向のずれと陥没変形を,冠状断でずれた骨と梨状口縁,上顎骨前頭突起との位置関係を,矢状断で鼻背の変形(鞍鼻,下垂鼻など)を精査する。これらの情報収集は徒手整復のシミュレーションに重要である。鼻中隔内骨の不自然な連続性の消失,骨の亀裂などがあれば鼻中隔骨折を疑う。これらはあくまでも所見であり,鼻骨骨折に加えて外鼻変形があるとき,鼻閉があるときに治療の適応になる。
残り1,436文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する