□メニエール病の側頭骨病理が内リンパ水腫であることは,1938年に剖検例から証明されている。
□30~40歳代,やや女性に多く,ストレスや不規則な生活がメニエール病の発症と因果関係を持つとされてはいるが,ストレスと内リンパ水腫発生,メニエール病発症のメカニズムはまだ解明されていない。
□両耳罹患率は10~40%,罹病期間の遷延化によりその率は上昇する。罹病期間の遷延化,両耳罹患により,神経症やうつ病の合併率も高まる。
□メニエール病の診断基準は臨床症候的に定められている。難聴,耳鳴の増悪を随伴する回転性めまい発作が発現,消退を繰り返す。
□難聴は低音障害型感音難聴から始まる。もともと難聴がある場合は聴力の変動に着目する。進行すれば中高音域にも感音難聴が生じ,全音域に増悪していく(図)。
□めまい発作は自発性で,10分以上続く回転性を基本とするが,浮動性の場合もある。
□難聴患者にたまたまあるいは続発性に生じる良性発作性頭位めまい症とは,注意深く鑑別する必要がある。
□グリセロールテスト(蝸牛水腫検出),蝸電図(蝸牛水腫検出),フロセミドテスト(半規管水腫検出),フロセミド前庭誘発筋電位(vestibular evoked myogenic potential:VEMP)テスト(耳石器水腫検出),さらに最近では内耳造影MRIを用いて内リンパ水腫推定検査を行い,その結果を診断の参考にするとよい。これらの検査の水腫検出率は100%ではなく,あくまで補助診断のためのものと考える。
□厚生労働省前庭機能異常調査研究班のメニエール病診療ガイドライン2011年版1)を参照されたい。
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