□上咽頭癌は,Epstein-Barrウイルス(EBV)が発癌に関与する点や,中国南部や東南アジアに好発する地域性などの点で,他の頭頸部癌とは異なる特徴を有する。
□原発巣が無症状のうちから高率に頸部リンパ節に転移巣を形成する臨床的特徴がある。
□解剖学的に手術の困難な箇所であり,腫瘍の放射線感受性が高いことから,一般に化学放射線療法が施行される。
□上咽頭の症状よりも,離れた部位の症状として現れることが多い。
□初診時の臨床症状で最も多いものは頸部リンパ節腫脹である。ついで,聴力低下,耳鳴,反復する中耳炎などの耳症状,さらに鼻閉,鼻出血などの鼻症状と続く1)。
□頭痛は,頻度こそ高くないが注意すべき症状である。眼症状,脳神経症状(主にⅡ~ⅥおよびⅨ~Ⅻ,特にⅥ)も,頻度は高くないが重要である1)。
□内視鏡検査により腫瘍を確認する。
□腫瘍のステージングには,CT,MRI(図1),FDG-PETが有用である。
□多くを占めるEBV関連上咽頭癌では,生検組織中にEBVのコードするRNAであるEBERをin situ hybridizationにより同定できる(図2)。
□EBV関連上咽頭癌では,血液検査によりEBV抗体価の上昇を認めることが多い。特に,ウイルスカプシド抗原(VCA)に対するIgA抗体価および早期抗原(EA)に対するIgA抗体価が有用である。
□血中のEBV DNA定量は診断に有用であるのみならず予後因子にもなりうるため,臨床への応用が期待されている。
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