□5歳を過ぎて月1回以上の頻度で,少なくとも3カ月以上連続して夜間睡眠中の尿失禁を認めるものを夜尿症(nocturnal enuresis)と言う。有病率は5歳児で20%,その後1年ごとに15%ずつ治癒し,成人では1%未満となる。
□発達過程にある小児において,覚醒障害を基盤として抗利尿ホルモン(anti-diuretic hormone:ADH)の日内変動の欠如や排尿機構発達の遅れが加わり,睡眠中の尿失禁を生じると考えられている1)。
□従来重要視されていた,幼少時の療育歴,本人や家族の性格などの心理的要因は副次的要因にすぎない。
□夜間睡眠中の尿失禁である。
□夜尿の有無は夜間尿量と膀胱容量のバランスで決まる。すなわち,夜間尿量が多くても膀胱容量がそれを上回れば夜尿は認められない。また,膀胱容量が小さくても夜間尿量がそれ以下であれば夜尿はみられない。そこで,夜間尿量と膀胱容量のバランスから,夜間尿量の多い型(多尿型,多量遺尿型),膀胱容量の少ない型(膀胱型,排尿機能未熟型)と両者がみられる型(混合型),およびいずれにも該当しない正常型に分類される(表1)。
□病型は,夜間尿量,尿浸透圧や尿比重および機能的最大膀胱容量に基づいて診断するため,2週間自宅で夜間尿量*1と機能的最大膀胱容量*2の測定を行わせ日誌に記録させる。
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