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最近の心療内科での心理療法

No.4925 (2018年09月15日発行) P.55

庄子雅保 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科)

河合啓介 (国立国際医療研究センター国府台病院心療内科診療科長)

登録日: 2018-09-13

最終更新日: 2018-09-11

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【第3世代の行動療法であるmindfulness-based stress reduction(MBSR)の有用性】

瞑想をベースとしたmindfulness-based stress reduction(MBSR)は第3世代の行動療法で,randomized controlled trialで有用性が確認されている。MBSRは,呼吸法,静座瞑想法,ボディスキャン,ヨーガ瞑想法,歩行瞑想法など,意識を呼吸や身体の各部位へ向ける瞑想を取り入れた8週間のプログラムである。

これまで心療内科領域の認知や行動面を主に取り扱う心理療法は,第1世代(行動療法),第2世代(認知行動療法)を中心に行われてきた。行動療法では,行動を操作し,不適応行動を修正する。認知行動療法では,思考パターンを修正することにより,感情を統制する。第3世代の行動療法であるMBSRでは,気分や感情を統制する点は第2世代と同様であるが,操作する対象は思考ではなく注意である。第1,2世代の行動療法や伝統的な心理療法では,不快な感情の統制や消去を目標とするが,MBSRでは,不快な感情等の症状を消去や統制することで対処するのではなく,症状と距離をとることで対処し,共存する点が従来の治療法と異なる部分と言える。

MBSRは,がん患者の精神症状,ストレスが関与している慢性疼痛など慢性疾患のQOLや精神症状,ストレス低下に関して有用性が認められている1)。一方,健常群においてもストレス低下が認められている1)。MBSRは,ストレス性疾患の予防と慢性疾患のQOLの改善に有効と言える。

【文献】

1) Gotink RA, et al:PLoS One. 2015;10(4): e0124344.

【解説】

庄子雅保,河合啓介  国立国際医療研究センター国府台病院心療内科  *診療科長

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