塩野義製薬は9月27日、うつ病治療薬候補ズラノロンについて、国内における製造販売承認の申請を行ったと発表した。
ズラノロンは、既存の抗うつ薬とは異なる新規の作用機序を有する経口剤で、シナプスおよびシナプス外のGABAA受容体に対するポジティブアロステリックモジュレーター。
今回の申請は、国内第Ⅲ相検証試験の結果に基づき行われた。同試験ではうつ病の重症度を評価する尺度であるHAM-D合計スコアのベースラインからの変化量について、ズラノロン投与群はプラセボ投与群に対して統計学的に有意な減少が確認された。ズラノロン投与群は、投与3日目からHAM-D合計スコアが有意に減少し、即効性が示されたという。同社はこれまでの試験結果を根拠に、1日1回14日間の経口投与により、速やかなうつ症状の改善が期待されるとしている。
ズラノロンは2023年8月に産後うつ病に対する初めての経口治療薬として米国FDAから承認を取得。「ZURZUVAE」の製品名で販売されている。同社は2018年に米国セージ・セラピューティクス社より日本、台湾および韓国における独占的開発権・販売権を取得している。
「ズラノロン」の臨床試験結果
中等症から重度のうつ病患者412名を対象に実施された国内第Ⅲ相検証試験で、HAM-D合計スコアのベースラインからの変化量において、Day3~Day15ではズラノロン投与群のプラセボ投与群に対する有意な改善が、Day15~Day57の観察期間には治療効果の持続傾向が確認された