本庶佑京大特別教授のノーベル生理学・医学賞の受賞決定を受け、山中伸弥京大iPS細胞研究所所長、横倉義武日本医師会会長らがコメントを発表した。
山中氏は、「先生のご受賞を毎年、待ちわびていた一人として、跳びあがる程の気持ちです」と歓喜。本庶氏による免疫応答を抑制するPD-1分子の発見について、「人類の敵“がん”に対する、免疫システムを利用した画期的な治療法を生み出しました。世界中の患者さんに希望の光を灯し、人々の健康に多大なる貢献をされました」と称賛した。その上で、「基礎研究が医療応用へと発展した本庶先生のご業績は、私たち医学研究者の目標であり、心から敬意を表します。私どもも本庶先生を鑑に、医療応用に向けて精進して参る所存です」とした。
横倉氏は、「日本医師会としても誇らしく、大変喜ばしいことであり、これまでの先生のご尽力とその成果を改めて大いに称えたい」と祝福した。本庶氏の研究が免疫チェックポイント阻害薬「オプジーボ」の開発に結びついたことについて、「まさに、基礎医学における地道な研究が臨床につながった好事例」と評価。「引き続き、日本の基礎医学研究の先頭に立って研究を続けていただき、後進の指導に当たっていただきたい」とした。
その一方で、日本では基礎医学分野で成果を出すまでに時間がかかることや、政府の補助金が削減されていることから基礎医学を志す人が減少していることに危機感を表明。「基礎医学は臨床を支える重要な学問」とした上で、「基礎医学に携わる方々が立派な研究成果を生み出せるよう、引き続きその環境整備に努めたい」との考えを示した。
本誌で「なかのとおるのええ加減でいきまっせ!」を連載しており、本庶氏に師事していた仲野徹氏(阪大病理学教授)も喜びのコメントを寄せた。「師匠である本庶先生は、周囲を気にせず我が道を歩まれる勇気、物事に対する執念、そして驚異的な負けず嫌い、この3つがとりわけ凄いように思います。これらが結実してのノーベル賞、本当におめでとうございます!」
(編集部:10月6日号の「なかのとおるのええ加減でいきまっせ!」でも、本庶氏のノーベル賞受賞についてご執筆いただいております。)