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アレルギー疾患のバイオマーカー:ペリオスチン 【喘息薬の効果予測に有用で,アレルギー疾患全般のバイオマーカーとしても注目】

No.4828 (2016年11月05日発行) P.49

小林信之 (国立病院機構東京病院統括診療部部長)

登録日: 2016-11-01

最終更新日: 2016-10-31

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ペリオスチンは,約90kDaの細胞外マトリックス蛋白質で,喘息患者で観察される肥厚した基底膜の構成成分であるとともに,細胞表面上の受容体(インテグリン)に結合し,細胞内にシグナルを伝達する機能を併せ持っている1)。ペリオスチンはTh2サイトカインであるインターロイキン-4(interleukin-4:IL-4)やインターロイキン-13(interleukin-13:IL-13)の刺激で発現が誘導されることから,2型免疫反応を反映して血中ペリオスチン濃度が上昇すると考えられている。現在,2型免疫反応の阻害薬が新しい喘息薬として開発されており,それらの薬剤が有効かどうかを予測するための指標(いわゆる,コンパニオン診断薬)としてペリオスチンが注目されている。

開発中の抗IL-13抗体や,既に市販されている抗IgE抗体の効果予測における血中ペリオスチン濃度の有用性が,これまでに報告されている。さらに,ペリオスチンは生体内でのリモデリング,あるいは線維化の程度を反映するバイオマーカーとしての性格を持っており,吸入ステロイド抵抗性の予測にも適用しうることが示されている。ペリオスチンは,喘息以外にもアトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎などアレルギー疾患全般に関与しており,これらの疾患の新たなバイオマーカーとしての有用性が期待されている。

【文献】

1)Izuhara K, et al:Allergol Int. 2014;63(2):143-51.

【解説】

小林信之 国立病院機構東京病院統括診療部部長

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