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■NEWS 「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を了承─厚労省検討会

No.4955 (2019年04月13日発行) P.64

登録日: 2019-04-02

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厚生労働省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」は3月29日、医療費トラブルの防止策を盛り込んだ「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を了承した。近く公表し、医療機関で広く使われるよう厚労省が都道府県や関係団体に周知する方針。

同マニュアルは、外国人受け入れ体制が整っていない医療機関向けに厚労省研究班が作成したもの。

マニュアルでは医療費の概算を事前に提示する重要性を強調。「価格の説明をされずに、勝手に治療された」「○○もお金がかかるのであったら、○○の検査は断っていたのに」と医療機関への不信感から医療費を支払わない事例も少なくないとして、「医療機関が検査や治療を行う前に医療費やその概算を示すことで防止できる」と指摘した。日本では医療費概算を事前に提示する仕組みがないことからマニュアルでは、「基本的な算定方法や提示方法を決めておく必要がある」とした。概算額と実際の医療費が異なる可能性の説明も求めた。

また、旅行者は十分な現金を持ち合わせていない場合があるため、キャッシュレス対応の可否など支払い方法についても診察前に確認する必要があるとした。

■渡航元、潜伏期間など考慮して鑑別を

感染症対策としては、アジア、アフリカ圏では特に麻疹、風疹、結核の感染リスクが高いことから受付の職員や事務職員を含め、医療機関の従事者のワクチン接種を推奨。国内の患者と想定すべき鑑別疾患が異なることから診察時には、渡航元、潜伏期間、曝露などを考慮して鑑別疾患を絞り込みつつ、必要に応じて地域の感染症の専門家に相談すべきとした。

■宗教・習慣上の対応についても明記

宗教・習慣上の対応については、検査や治療を行う前に患者から要望を聞き取り、対応する必要性を指摘。自院で対応不可能な場合は、その旨を患者に説明し、納得してもらうことが大切だとした。なお、宗教・習慣上の対応でかかった費用については別途請求することが可能。この場合も患者にあらかじめ伝え、同意を得ることが望ましいとした。

「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」を了承した厚労省検討会

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