診療報酬調査専門組織の入院・外来医療等の調査・評価分科会は6月19日、かかりつけ医機能を巡り議論した。かかりつけ医機能報告の創設を受け、一次診療への対応状況などの報告項目を「機能強化加算」などの既存報酬の評価にいかに反映させるかが論点となった。
厚労省はこの日、かかりつけ医機能関連の既存報酬を、体制整備の評価(時間外対応加算、機能強化加算など)、診療行為の評価(地域包括診療料・加算、生活習慣病管理料など)、その他、連携や紹介等の評価(連携強化診療情報提供料など)―の3つの視点で整理した資料を示した。
体制整備の評価である「機能強化加算」については、医療法上のかかりつけ医機能報告の報告項目と算定要件等を対比した資料も提示。報告項目のうち「自院が担う機能の院内掲示」や「服薬の一元管理」、「介護サービスとの連携」などには対応する要件があるが、1号機能の「17の診療領域ごとの一次診療の対応可能の有無、一次診療を行うことができる疾患(40疾患が対象)」とその他報告事項の「臨床研修医等の教育」(その他報告事項)は対応するものがなく、「地域包括診療料・加算」などの要件にも該当がないことが明らかになった。
このため委員からは「かかりつけ医機能報告に沿った形で診療報酬上の体制評価を見直してはどうか」(中野惠委員・健康保険組合連合会参与)などといった意見が示された。
診療行為の評価である「生活習慣病管理料」は、算定患者の継続算定率に関する分析で、時間の経過とともに継続算定率が低下していることが判明。患者による治療中断が要因とみられ、外来患者等の調査では継続治療のために必要なこととして多くが予約診療や長期処方の実施を挙げていた。
この結果を踏まえ、複数の委員が生活習慣病の治療管理において予約診療や長期処方への対応など、患者が継続受診しやすい環境整備が重要との認識を示した。これに対して今村英仁委員(日本医師会常任理事)は、当該データは同一医療機関での継続算定率の分析であり、状態の変化などによって他院に紹介された患者は含まれていないと指摘。かかりつけ医機能報告は単一の医療機関の継続受診ではなく、地域の医療機関が連携し、面としてかかりつけ医機能を発揮する制度設計となっている点に留意する必要があると異議を唱えた。