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■NEWS 「産業医の全国組織化」に向け連絡協議会を開催―日本医師会

No.4956 (2019年04月20日発行) P.64

登録日: 2019-04-05

最終更新日: 2019-04-05

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日本医師会は4日、「都道府県医師会産業保健担当理事連絡協議会」を開催した。産業医が安心して活動に専念するために日医が実現を目指している「産業医の全国組織化」について、情報共有が図られた。

協議会の冒頭で挨拶した横倉義武会長は、働き方改革関連法が4月より施行されたことなどを踏まえ、「今後ますます、産業医に期待される役割の増大や業務の多様化、高度化が求められる」と強調。会内に設置した今期の「産業保健委員会」では産業医を守るという観点から産業医の組織化に向けた具体的な方策を諮問事項にしているとした。その上で、産業医の地位向上、報酬の引き上げ、身分保障など、産業医の保護や活躍の場の拡大につながるシステムの構築が重要だとの認識を示した。

産業医の組織化の目的について松本吉郎常任理事は、「産業医が安心して活動に専念できる環境・体制作りに向け、各都道府県医師会に設置されている産業医(部)会と連携し、日医主導で産業医の全国ネットワーク作りを進めたい」と説明。産業医の組織化に向け、各都道府県医師会に対し、産業医(部)会の設置や産業保健委員会での対応を求めた。県内に医(部)会の設置が困難な場合は、日医に直接参画するとし、「産業医のスキルアップと活動支援を関連団体と協力しながら体系立てて構築する」との方向性を明示した。

なお、日医が20181月に公表した「認定産業医に関する組織活動の実態調査」の結果によると、産業医(部)会の設置状況について「ある」と回答したのは20県。「ない」が18県、「かつてはあった」が9県だった。一方、産業保健委員会が「ある」としたのは40県、「ない」は7県だった。

■事業所の実情踏まえ「勧告」判断を

働き方改革関連法の1つに位置づけられている改正労働安全衛生法では「産業医が勧告をしようとするときは、あらかじめ事業者の意見を求めるものとする」と定められている。協議会で埼玉県医師会はこれについて、「事前に事業者と調整を図ることで、産業医の率直な意見が勧告に反映されてないことも想定される」として、「産業医の独立性・中立性を強化するための方策と相反する内容とも考えられる」と危機感を示した。

これに対し厚生労働省労働基準局の神ノ田昌博労働衛生課長は、「事業所の実情を十分踏まえた上で現実的な措置を提示していくことが産業医には求められている」と回答。「産業医の医学的判断がこれにより歪められるものではない」と強調した。

松本氏は、勧告の経験がない産業医が大多数だとして、同じ課題を抱える産業医同士のコミュニケーションの必要性を指摘。注意点や体験談を共有できる研修会を設置する考えを明らかにした。

「日医としても産業医の仕事を魅力あるものにしたい」と述べる横倉会長

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