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嘱託産業医スタートアップマニュアル 〈ゼロから始める産業医〉

これ一冊で産業医の仕事がわかる「未経験者のための業務マニュアル」

定価:4,180円
(本体3,800円+税)

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著: 勝木美佐子(労働衛生コンサルタント・日本内科学会総合内科専門医)
奥田弘美(労働衛生コンサルタント・精神保健指定医)
判型: B5判
頁数: 194頁
装丁: 2色刷
発行日: 2018年03月16日
ISBN: 978-4-7849-4755-3
版数: 第1版
付録: 書式ダウンロード(巻末にパスワードが記載されています)

◆これから嘱託産業医を始める人のために、必要最小限のノウハウをまとめた業務マニュアル。これ一冊あれば産業医として仕事をスタートできます。
◆健康診断、職場巡視、長時間労働者の面接指導、メンタルヘルス相談、身体疾患を持つ方の就業配慮など……各種業務の流れとチェックポイント、報告書や意見書の書き方を解説しました。
◆産業医の業務に必要な書式のひな形(Word・PDF)を完全収録。巻末のパスワードで無料ダウンロードできます。

書式のダウンロードはこちらから <巻末に記載されているパスワードをご用意ください>

目次

第1章 産業医に必要なソーシャル・スキル

嘱託産業医の仕事はどうやって見つける?
契約書の内容を確認する
事業所、労働者との関係性を理解しておく
産業医に必要なビジネスマナー
 ①名刺交換
 ②メールの書き方
 ③身だしなみ
その他のビジネスマナー

第2章 健康診断チェックと事後措置

健康診断と事後措置の流れ
実施前の確認事項
結果の確認作業と二次健診対象者の選定
健康診断結果票に意見を記載する
要治療・要精査者への受診勧告
判定保留者の再判定
事後措置についての面談と意見具申
労基署提出用の報告書に署名・押印する
衛生委員会への報告
健康診断の判定基準
健康診断の事後措置(ケーススタディ)
特殊健診の管理区分
有所見者に対する保健指導

第3章 長時間労働者への面接指導と事後措置

医師による面接指導の意義
面接指導のシステム作り
面接時に必要な書類
面接指導結果報告書および意見書
医師による面接指導の流れ
リスク評価の手順
面接指導のポイント
長時間労働者への事後措置(ケーススタディ)
衛生委員会での報告

第4章 職場巡視

職場巡視の意義
職場巡視の目的
職場巡視のポイント
 ①作業および作業環境管理
 ②防災管理その他
巡視計画の立案と巡視前の確認事項
職場巡視のチェックシート
保護具、被服の準備
職場巡視の進め方
有害物取り扱い作業場の巡視
喫煙対策、メタボ対策
職場巡視の実際(ケーススタディ)
職場巡視を終えたら

第5章 メンタルヘルス面談

メンタルヘルス面談の種類
人事労務担当者との打ち合わせ事項
メンタルヘルス面談におけるコーチング技法
面談におけるコアスキル
 ①「聴く」
 ②「質問する」
 ③「伝える」
メンタル不調者面談
 ①面談の目的
 ②メンタル症状のチェックポイント
 ③うつ病のスクリーニング
 ④メンタル不調者の業務軽減
 ⑤意見書の提出とフォローアップ
復職支援
 ①職場復帰の流れ
 ②休職の判断と休職中のケア
 ③復職判定の考え方
 ④復職判定面談
 ⑤復職支援プログラムとフォローアップ
ストレスチェック
 ①ストレスチェック制度の基礎知識
 ②ストレスチェックと健康診断の違い
 ③嘱託産業医が実施者になるときの注意点
 ④高ストレス者面接とは
 ⑤高ストレス者面接の手順

第6章 身体疾患の取り扱い

身体疾患を持つ従業員への対応
主治医との連携のとり方
就業配慮・就業制限の進め方
就業配慮が必要な身体疾患
 ①腰痛、腱鞘炎など整形外科疾患
 ②コントロール不良の慢性疾患
 ③睡眠時無呼吸症候群
 ④がん
 ⑤HIV感染、AIDS
 ⑥障害者
就業配慮が必要な身体状態;妊娠

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序文

産業医になられたばかりの先生方へ

産業医の資格を取得された先生方は、「できれば資格を活かして嘱託産業医として活動してみたい」と一度はお考えになると思います。
しかし、臨床の世界で生きてきた医師にとって、産業医としての一歩を踏み出すのはなかなかハードルが高いのが現状です。「どうやって仕事を見つけたらいいのか?」「どのように業務を進めていけばいいのか?」などと、不安や疑問だらけではないでしょうか。
筆者である私たちもそうでした。そこで、私たちの経験とスキルを産業医初心者のために可能な限り具体的に公開し、産業医活動のスタートアップの手助けとなるよう、本書を執筆したのです。

ストレスチェックの義務化に加え、「働き方改革」や「健康経営」の機運が高まっていることから、産業医のニーズはますます増えています。産業医を必要としている職場は、全国に16万ヵ所以上あると言われています(総務省:平成26年経済センサス)。
一方、産業医の養成研修・講習を修了した約9万人のうち、実働している産業医は3万人程度です。せっかく忙しい合間に講習会に足を運んで得た資格ですから、是非多くの先生方に産業医として活躍していただきたいと社会全体が願っています。

そのため本書には、産業医講習会では教えてもらえない、実務のノウハウを沢山盛り込みました。実際の現場では、人事労務担当者が産業医の仕事をお膳立てして待っているわけではありません。逆に「先生、何を準備すればいいでしょう?」と聞いてくることも少なくないのです。
産業医は、業務全体の流れを知った上で、人事労務担当者に適切なアドバイスをしなければなりません。ただしクライアントさんですから、あくまでも「アドバイス」です。「指示」ではありません。こうした医療現場とは違う対応のコツを、しっかりと解説しました。
また、産業医として活動する際には、ビジネスパーソンとしての意識改革が大切になってきます。名刺の渡し方、契約書の書き方、面談の技法など、ビジネスの現場で働くためのルールとマナーについても解説しました。

今まで躊躇されていた先生方が、この本をきっかけに「産業医をしてみよう」と思っていただけたら幸いです。実際に産業医活動を始めたとき、この本はきっと先生方のお役に立つでしょう。
先生方とともに日本の産業衛生を進めていければ、私たちにとって望外の喜びです。

2018年 春

勝木 美佐子
奥田 弘美

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レビュー

「嘱託産業医向けの実用書」

兼板佳孝(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野主任教授)
著者の勝木美佐子先生と奥田弘美先生は、ともに労働衛生コンサルタントの資格を有し、これまでに多くの企業の嘱託産業医を務められてきた経験がある。また、勝木先生は内科、奥田先生は精神科の臨床診療についても精通している。そのお二人がご自身の実務経験に基づいて執筆されたのが本書である。本書は、産業医資格を取得されたばかりの初心者に活用してもらうことを意図して企画されており、嘱託産業医として最低限知っておくべき事項に加えて、業務を進めていく上で役立つ具体的なノウハウが網羅されている。
本書を拝見したところ、次の点が特徴として挙げられる。第一に、嘱託産業医案件の求職、つまり、嘱託産業医の仕事を探す方法についても記述されている。この領域の従来の成書では、こうしたところまで述べられているものは少ないと思う。第二には、産業医業務のほぼすべての内容は、労働安全衛生法で規定されているのであるが、本書では難解な法律の内容を平易な文章で分かりやすく解説している。第三には、具体的な事例を示すことによって、より理解が深まるように工夫されている。第四には、産業医巡視報告書や就業制限に関する情報提供依頼書などでは、例文を示しながら記載方法を解説している。第五には、掲載されている書式がインターネットを介してダウンロードできるようになっている。日常の産業医業務では様々な書類を作成するため、こうした書式が利用できるのは大変便利である。このような特徴を有する本書は、いわゆる「かゆいところに手が届く」ものであり、産業医の実務を遂行する上できわめて有益である。
過労死や過労自殺が大きな社会問題となっている今日のわが国において、産業医に求められる業務は日々増してきている。そのような社会情勢にあって、本書は、これ一冊があれば、産業医業務が開始できるように工夫されている。本書が多くの産業医にとってその業務を支える一助となることを確信している。

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正誤情報

下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。

43ページ「労基署提出用の報告書に署名・押印する」
令和2年8月より、労基署に提出する各種健康診断結果報告書について産業医の押印が省略できることになりました。

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