社会保障審議会医療部会は24日、厚生労働省研究班が医療機関の職員向けに策定した「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」案を了承した。医療現場で身寄りがない患者の意思決定支援を要する場面での具体的な対応を明示。医療現場における成年後見人の役割も整理している。
ガイドラインでは、身寄りがない人への対応について、①判断能力が十分である、②判断能力が不十分で成年後見制度を利用している、③判断能力が不十分で成年後見制度を利用していない―の3つに分け、緊急連絡先の確認、入院計画書の説明、入院費の支払い、退院支援などの場面ごとに支援の要点を解説している。
入院時には、本人が理解できるよう分かりやすく計画書の内容を説明することを基本としつつ、ケアマネジャーなど説明に同席を希望する者がいれば本人の意向を確認した上で情報提供を行う。成年後見制度を利用している場合は、診療契約の代理権を持つ成年後見人にも内容を確認してもらう。本人の判断能力が低下して説明を理解してもらえず、家族もいない時は「本人への説明を試みた上で、その旨をカルテに記載する」とした。
入院費については、本人に判断能力があって支払いが可能な場合は原則本人が支払うが、成年後見制度の利用があれば支払代行をする成年後見人に相談する。医療費の未払いを防ぐ工夫として、入院時に本人の保険証を確認することを推奨し、生活に困窮しているようであれば自治体への相談を求めている。
厚労省は近くガイドラインを都道府県などへ周知する。
■関連記事