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AIの出現が放射線診断医の将来に及ぼす影響について

No.4965 (2019年06月22日発行) P.54

荒井保明 (国立がん研究センター理事長特任補佐/中央病院放射線診断科・IVRセンター/前日本IVR学会理事長)

高瀬 圭 (東北大学大学院医学系研究科放射線診断学分野教授)

登録日: 2019-06-19

最終更新日: 2019-06-18

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  • AIの出現により,放射線科医師の仕事,特に診断業務が大きく減少するのではという漠然とした不安があるようです。私の知る限り,もちろん助かる部分もありそうですが,放射線科医が不要になるような状況からは程遠いように思われるのですが,既に若い医師や医学生が放射線科を希望しないという風評被害も出始めているようです。
    AIの出現が放射線科医の将来に及ぼす影響や風評に対する対応について,画像診断技術の革新と放射線科医の仕事の歴史的な推移や学会の取り組み等について,東北大学・高瀬 圭先生にお聞きしたいと思います。

    【質問者】

    荒井保明 国立がん研究センター理事長特任補佐/中央病院放射線診断科・IVRセンター/前日本IVR学会理事長


    【回答】

    【面倒なところをAIが行い,放射線科医は本来の医療行為により多くの時間を割き,よりvisibleな存在になる】

    最近の画像診断は,診断機器の進化およびカテーテルデバイスの新たな開発と進歩が著しいことに加え,AIの医療現場への応用が急速に進んでおり,60年前の第一次AIブームから数えて,現在は機械学習・ディープラーニングが注目される第三次AIブームとされています。AIは医療の効率化・高精度化に寄与し,ワークフローの支援にも活用されようとしていますが,特に画像診断には親和性が高いとされています。

    では,AIの登場で画像診断医の役割は大幅に少なくなるのでしょうか? こうした,「AIが放射線診断医に取って代わるか」という問いに対する筆者の答えは,明確に「否」です。一方で,そうした漠然とした不安を抱く医学生もいるようです。よく理解していないものや馴染みのないものを必要以上に怖れてしまうことは理解できます。米国ではこうした不安から画像診断医を志望する若手医師が一時減少しましたが,2015年を底としてV字回復しました。AIへの理解が正しく進んだためと考えます。

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