総論　1
問題＆症例　9
1 このX線画像を他院に紹介するときにどのような表現で記載しますか？ 10
2 胸部X線画像読影時のポイントを考えつつ，本症例の診断は？ 11
3 このCT画像を見たとき，あなたならどうしますか？ 12
4 インフルエンザ罹患後の肺炎だ。起炎菌はなんだろう？ 13
5 心陰影に重なった腫瘤影の診断は？ 14
6 細菌性肺炎だろうか？ それとも……？ 15
7 心拡大，陰性T波，CK値上昇……心筋梗塞でよいのか？ 16
8 ファブリー病による肥大心と言いきってよいのか？ 17
9 胸背部痛とのことだが，これは大動脈解離？ それとも……？ 18
10 呼吸困難，胸痛，背部痛……心エコー図検査での注意点をふまえた上で診断は？ 19
11 急性咽頭炎発症後の肺に発生した複数の異常陰影のグラム染色像をどう考えるか？ 20
12 カテーテルの走行異常。どこを走行しているか？ 21
13 リンパ節，脾臓，皮膚へのFDG集積……悪性リンパ腫でよいのか？ 22
14 高血圧性心肥大？ 肥大型心筋症？ それとも……？ 23
15 心臓核医学検査で認められた中隔を中心とした血流低下……原因は？ 24
16 喫煙者の胸部X線・CTでの腫瘤影……炎症性肉芽腫？ 肺結核？ これは何？ 25
17 この胸部単純X線写真上の異常を指摘できますか？ 26
18 大動脈解離に対する上行大動脈置換術後の咳，発熱……原因は？ 27
19 心原性ショックの原因は？ 28
20 急性B型大動脈解離を認めるが……それだけか？ 29
21 僧帽弁に付着した異常構造物？ 診断は？ 30
22 冠動脈CT・冠動脈造影で認めた多発右冠土脈瘤と狭窄病変……原因は？ 31
23 動脈硬化リスクのない若年女性で急性冠症候群，その原因は？ 32
24 この画像の胸部異常影を指摘できますか？ ① 33
25 これは本当に粟粒結核か？　確認を！ 34
26 この画像の胸部異常影を指摘できますか？ ② 35
27 心筋梗塞後のショック……僧帽弁逆流の原因は？ 36
28 肺気腫でよいのか？ 37
29 石灰化結節……陳旧性変化でよいか？ 38
30 心不全でよいかな？　いや，待てよ…… 39
31 胸痛と意識消失……大動脈解離か？ 40
32 この画像の胸部異常影を指摘できますか？ ③ 41
33 肺炎？ 肺癌？ あるいは……？ 42
34 胸部Ｘ線写真での異常所見は？ 43
35 肺炎？ 気管支炎？ それとも……？ 44
36 気管支壁肥厚，粒状～小結節，すりガラス状浸潤影……これはCOPDの急性増悪？ 45
37 繰り返す肺浸潤影と呼吸困難。肺炎？ それとも……？ 46
38 胸痛・呼吸苦からは様々疾患が考えられるが，本症例は……？ 47
39 若年者の多発性肺囊胞？ 鑑別診断は？ 48
40 突然の胸痛，背部痛，発熱。これは胸膜炎？ それとも……？ 49
41 肺炎？ 喘息？ それとも……? 50
42 気管挿管後の胸部X線写真，ここからわかることは？ 51
43 大酒家や糖尿病患者に発症した大葉性肺炎の起炎菌と言えば？ 52
44 肺癌？ それとも……？ 53
45 敗血症の患者に急激に生じた肺病変……その原因は？ 54
46 人間ドックの胸部CT異常陰影。原因は？ 55
47 間質性肺炎？ それとも……？ 56
48 左肺門部腫瘍影が認められるがFDG集積は低かった……鑑別は？ 57
49 spiculationを伴った不整形結節。肺腺癌か？ 58
50 肺癌新出の所見を指摘できますか？ 59
51 検診単純X線写真異常影の原因は？ 60
52 CTで偶然発見された小すりガラス状吸収値病変の診断は？ 61
53 粟粒結核？……でも，何か違う。これはいったい？ 62
54 矢印の血流は何？ 63
55 肺炎でよいのか？ それとも……？ 64
56 前縦隔腫瘍の診断は？ 針生検で診断できなかった理由は？ 65
57 左肺血管影乏しい？ 横隔膜のテント状挙上を伴った縦隔偏位……診断は？ 66
58 起炎菌は何？ 67
59 胸痛は虚血性？ 非虚血性？ 原因は？ 68
60 肺病変の原因は？ 69
解答＆解説　71
索引　192

私は救急医としてER型の救急病院で研修医を交えた比較的若いスタッフと協働しながら様々な症例に接しています。近年は救急搬送件数の多い二次救急医療機関に長期間勤務しており，症例も多く多岐にわたるので，疾患や治療などについて調べる機会が増えています。なるべく早く正確かつ新しい情報を広く入手するには，やはりインターネットが有用なので，若手医師のポケットには常にスマートフォンが入っていますし，タブレットやノートパソコンを持ち込んで，ER内で検索しています。あるいはこれらのデバイスに成書やカンファランス等で用いた資料が大量にダウンロードされていて，さっと表示させて，現場で参考にしたり，空き時間に復習できるように各自が工夫を凝らしています。自分で調べるより若手医師に頼んだ方が資料も豊富で速いので，迷惑がられないように気を遣いながら検索をお願いしています。私の研修医時代は経験がない，知識がない，時間がない中で，大学病院の図書館に行き成書や文献をコピーして情報を仕入れたり（仕入れるだけで満足していた），業務の合間に大学病院にある本屋に行って雑誌や成書を購入し，当直の合間に読んでいました。洋式便所の中で座りながら読み，そのまま寝てしまったことも少なくありません。
昔話はさておき，どんどん情報が増えていく中で，これらをうまく整理し，現場で効率的に活用していく能力が問われる時代となっています。本書は「日本医事新報」で好評を博した連載を胸部画像診断に絞ってまとめたものです。姉妹本の『画像診断道場　アップデート版〈腹部編〉』と同様，症例ごとに基本から応用までクイズ形式になっており，エキスパートに読影のポイントを解説していただき，教訓を込めた重要なメッセージをいただきました。現病歴，採血結果，イニシャル画像からクイズ問題としてチャレンジしてみる，あるいは教訓や診断名から知識の整理に利用する，興味のある症例・タイトル・教訓から学んでいくことも可能かと考えます。皆様の臨床の現場で本書が効率的に活用され，少しでもお役に立てれば幸いです。