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特集:地域が模索する認知症の初期支援

No.4749 (2015年05月02日発行) P.13

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-20

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  • 2018年度まで全自治体に「認知症初期集中支援チーム」を設置

    認知症の有病者数は2012年時点で462万人だが、高齢化の進行により2025年には700万人まで増加し、65歳以上の5人に1人が認知症となる―。政府は1月、このような推計を発表し、新たな認知症施策推進総合戦略(通称、新オレンジプラン)を発表した。その基本的考え方は「認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現」というもの。認知症の容態の変化に応じて医療・介護が提供される体制整備を目指し、早期診断・早期対応に向けた支援体制を構築する。この柱の1つとなるのが「認知症初期集中支援チーム」(認知症初期集中支援推進事業、表1)の活動だ。新プランでは2018年度までに支援チームを全自治体に設置する目標を掲げた(同事業は今年度から介護保険法に基づく地域支援事業の包括的支援事業に位置づけられ、市町村の必須事業となったが、17年度までは経過措置がとられている)。

    14年度の設置は41自治体に留まる

    「支援チーム」の活動とは、医師を含む複数の専門職3名以上で構成した支援チームが、認知症が疑われる人・認知症の人とその家族を訪問(アウトリーチ)し、おおむね6カ月間、自立生活のサポートを行うもの。対象は自宅で暮らす40歳以上で、実施主体は市町村。12年度からモデル事業がスタートした。初年度は英国のほか、国内の先進地域である宮城県仙台市、東京都世田谷区、福井県敦賀市で調査が行われ、13年度は14自治体、14年度は41自治体で支援チームが設置された。
    モデル事業の実施自治体は手挙げ方式だったことから、厚労省は昨年、参加が41自治体に留まった原因について都道府県を通じて各自治体に調査。その結果、「医師の要件が厳しい」との意見が多数上がったという。当初、医師の要件は、認知症専門医などの専門家が想定されていたが、そうした人材は全自治体に存在するわけではない。そのため厚労省は今年度から医師の要件を緩和。国立長寿医療研究センターの研修を受講した「認知症サポート医」かつ「認知症診療に5年以上従事した経験を有する医師」なども認めた。
    この変更について厚労省は「質を確保した上で要件を緩和した。それでも医師がいないという自治体に関しては、他の自治体の医師に協力を求めたり、複数の自治体が合同で支援チームを設置することもできるので、何とか工夫しながら設置を進めていただきたい」(老健局高齢者支援課認知症・虐待防止対策推進室)と話す。

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