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【論点】アルツハイマー病への抗認知症薬投与の是非

No.4985 (2019年11月09日発行) P.62

宮内倫也 (可知記念病院精神科)

登録日: 2019-11-06

最終更新日: 2019-11-05

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Bを選びます。抗認知症薬は効果が限定的であり,薬剤間での差異もほとんどないため,私は2019年4月現在で唯一後発品のあるドネペジルを第一選択とします。抗認知症薬は「改善させる」よりも「使用中は症状の進行を少し遅らせる」ものであり,この「少し遅らせる」ということに意味を持たせられるのであれば,投与は許容されるでしょう。

1 背景

抗認知症薬は「使用中は症状(疾患ではない)の進行を半年程度先送りにする」ものであり,その効果が検証されているのは,ほとんどがアルツハイマー病である。しかし,わが国で抗認知症薬を投与された患者の半数以上において,基本中の基本とも言える甲状腺機能が検査されておらず,医師の診断の杜撰さが明るみに出てしまった1)。そして,2018年8月,フランスでは抗認知症薬が公的医療保険の対象から外れた。これは薬価の問題でなく,効果の乏しさと副作用の大きさによる,というのは注目すべきであろう。このような状況で,抗認知症薬そのものの存在意義が問われている。
ここでは,どのようなときに投与を検討すべきか考えたい。

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