日本医師会の横倉義武会長は11月27日の会見で、2020年度診療報酬改定率が決定する年末の予算編成に関する見解を表明した。診療報酬本体について、「前回(プラス0.55%)を大幅に上回り、さらに働き方改革が実現できるような改定率を確保するなど、地域の医療現場を支えるために十分な手当てを講じるべき」と強調した。
横倉氏は、他産業に比べて医療分野の賃金の伸びが低いことを問題視。医師や医療従事者、事務職員の給料、医療機関の設備も診療報酬から充てられるとして、「本体をマイナスにするということは医療職の給料を下げることに等しい」と述べた。
財政制度等審議会が25日に麻生太郎財務相へ提出した来年度予算編成に関する建議では、診療報酬本体について、賃金や物価の水準と比べて高い水準だとして、「マイナス改定により是正していくべき」と指摘。全体で、「マイナス2%半ば以上」の改定を求めている。横倉氏はこれについて、「大変なことになる」と反発した。
予算編成に向けて横倉氏はまた、「社会保障費の自然増が約5300億円と見込まれる中、消費税増収分を社会保障の充実に活用することは国民との約束」だとして、「医療・介護における適切な財源を確保すべき」との考えを示した。地域医療介護総合確保基金(医療介護総合確保推進法に基づき、消費税増収分財源を活用して各都道府県に設置された財政支援制度)についても、増額を要求。基金は消費税率が8%に引き上げられた際の財源で創設されたことから、「今年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、増額すべきだ」と指摘した。このほか、「喫緊の課題」として医療機関等で働く人の働き方改革を取り上げ、必要な財源と人材の確保を求めた。