厚生労働省は12月6日の中央社会保険医療協議会・総会に、「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料(以下、地ケア病棟入院料)」の見直し案を提示。許可病床数200床以上の医療機関については、自院の一般病床からの転棟割合に一定の制限を設ける方針を打ち出したが、診療側は現場の混乱を懸念し、400床以上の医療機関に対象を絞り込むことを要望した。
「地ケア病棟入院料」を巡っては、これまでの議論で、自院の一般病床からの転棟割合が高い点が問題視されていた。病床規模が大きい施設ほど、その傾向が顕著であるため、厚労省は改善策として、▶許可病床数200床以上の医療機関の自院の一般病床からの転棟割合に一定の制限を設ける、▶許可病床数400床以上の医療機関が新規で地ケア病棟を届け出る場合は、地域医療構想調整会議の意見を求めることを要件化する─を総会に提案した。
一般病床からの転棟を制限する病床数の基準について、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は、「いきなり広範囲で制度変更すると現場で混乱が起きる可能性がある。400床以上の施設に明確なメッセージを出すことが200床以上の変容につながるのではないか」と述べ、400床以上にすることを提案した。地域医療構想調整会議で新規届出をコントロールする提案には、支払・診療側双方から実効性を疑問視する意見が相次いだ。
「地ケア病棟入院料1、3」の実績要件では、自宅などからの入棟患者の割合と緊急患者の受入人数について、実績を踏まえた引き上げを行うことを提案。在宅医療に関する要件は、▶「在宅患者訪問診療料」の算定回数/実績を踏まえて引き上げ、▶訪問看護などの回数/実績を踏まえて引き下げるなどの見直し、▶「開放型病院共同指導料」の算定回数/廃止、▶同一敷地内の施設などでの介護サービス提供/新たに実績を設ける─とした。現在、1、3でのみ要件化されている「看取りに対する指針」の策定は、「地ケア病棟入院料」全体の要件に拡大する案を示した。
この日は、「回復期リハビリテーション病棟入院料」についても議論。厚労省は、入院料1、3、5の「リハビリテーション実績指数」の基準値について、実態を踏まえて見直すことを提案した。入院患者の発症後の期間に関する要件も見直す考え。もともとは早期のリハビリ介入を促進する目的で設定された要件だが、発症から入棟までの日数が年々短縮し、脳卒中や脊髄損傷の患者では逆にこの要件を満たせずに回リハ病棟に入院できないケースがあることから、撤廃を視野に検討を進める必要があると判断した。
11月22日の総会で結論が持ち越しになっていた、「療養病棟入院基本料」の経過措置2(看護職員配置30対1)の扱いは、対象4施設の介護医療院などへの転換意向が確認できたことから、20年3月末での廃止が決定した。