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【識者の眼】「地域における薬剤師との医薬連携・協働」石橋幸滋

No.5011 (2020年05月09日発行) P.30

石橋幸滋 (石橋クリニック院長、東久留米市医師会会長)

登録日: 2020-05-08

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以前の薬剤師は、薬を調合して患者に説明してきちんと服薬できるか、副作用はないかをチェックするだけの専門職というイメージがあったが、現在は役割が大きく変化してきている。病院の薬剤師は、院内薬局から病棟に常駐するようになり、患者への配薬だけでなく、点滴準備から使用薬剤のアドバイス、副作用チェックなどに加え、緩和ケア、感染管理、栄養ケアなど院内のチーム医療に大きく貢献している1)

一方、調剤薬局で働く薬剤師も、地域医療の重要な担い手として活躍するようになり、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師制度も創設された2)。地域における薬剤師の役割は、表のように様々な役割がある。多くの医師はあまり認識していないが、患者にとって薬剤師は病気の時に最初の相談相手になるかもしれないし、薬をもらって帰る時に会う医療従事者として、その日の医療の最後の砦となる。在宅訪問薬剤指導を行い、医師の処方のチェックやアドバイスを行うだけでなく、患者の生活習慣指導や健康づくりのアドバイスを行う。加えて、災害医療や地域包括ケアシステム構築も担うきわめて重要な存在である。

そのため、薬剤師の学部教育は4年制から6年制となり、生涯教育制度も充実してきている。各種学会が認定する認定薬剤師や専門薬剤師はもちろんのこと、医師の日本専門医機構に該当する薬剤師認定制度認証機構が認定するがん専門薬剤師や感染制御専門薬剤師なども続々と誕生してきている。

この様にして育ってきた薬剤師は、医師のパートナーとしてきわめて重要な職種であり、我々医師は医療チームの一員として薬剤師との連携、協働を進めていかねばならない。

【文献】

1) 東京都病院薬剤師会:病院薬剤師の仕事
[https://www.thpa.or.jp/index.php?q=pharmacists-work#09]

2) 厚生労働省:患者のための薬局ビジョン〜「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ〜2015年10月
[https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/vision_1.pdf] 

石橋幸滋(石橋クリニック院長、東久留米市医師会会長)[多職種連携・協働]

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