株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

【識者の眼】「補完代替療法の研究報告に関する読み解き方の留意点」大野 智

No.5022 (2020年07月25日発行) P.62

大野 智 (島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)

登録日: 2020-06-29

最終更新日: 2020-06-29

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回(No.5017)、健康食品、鍼灸、ヨガなどの補完代替療法に関するランダム化比較試験(RCT)の報告件数は右肩上がりで増加していることを紹介した。読者の方の中にも利用経験があると思われる「特定保健用食品(トクホ)」も、実はRCTで有効性が証明されている。しかし、その結果の解釈には留意を要する。例えば「中性脂肪が気になる方へ」と表示されたトクホの場合、対象は血中中性脂肪が正常高値域者(120〜149mg/dL)及びやや高めの者(150〜199mg/dL)に限定されている。つまり、薬物治療を必要とする脂質異常症の患者がトクホを利用した場合、効果は保証されていない。また、原則として12週間連日摂取した上でプラセボ食品と比べて血中中性脂肪値が低下するかどうかを検討している。そのため1回摂取したからといって効果が得られるかどうかは保証されていない。また大量に摂取したからといって効果が大きくなるかどうかも保証されていない。そもそもRCTで示されているトクホの効果は一般的にわずかなものである。

ここで既にお気づきの方がおられるかもしれないが、補完代替療法に関するRCTの結果を読み解く際、PICO(P:patients/participant、I:intervention、C:comparison、O:outcome)について十分な批判的吟味を行うことが肝要となる。さらに留意点として、補完代替療法の場合、介入方法(量・期間含む)、製品の品質管理、有効成分の含有量などが報告によって異なっていることが多く、例えば同じ素材のサプリメントを用いたRCTでも結果が一致していないことがある。そのためRCTの結果を患者に適用する際は、冷静な目と慎重な判断が求められてくる。

大野 智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長)[統合医療・補完代替療法⑦]

ご意見・ご感想はこちらより

関連記事・論文

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top