フリードリヒ・ニーチェの代表的著作『ツァラトゥストラはかく語りき』に続いて、1886年に自費出版されたニーチェ最後の箴言書(副題「未来の哲学の序曲」)。『道徳の系譜』と姉妹篇をなす(木場深定 訳、岩波文庫、1970年刊)
〔写真は筆者提供〕
私は高校2年生の時、この世の大発見をしてしまったと若気の至りで勘違いした。学校で教えられる物理学と生物学を統合すれば、人間を含めて宇宙は当然、ある状態の次の瞬間の状態は決まっていることになる。今思えば陳腐な人間機械論であった。このために登校拒否となって、教会やお寺で議論を重ねたものである。この頃にたまたま出会ったのが、ニーチェの『善悪の彼岸』だったと思う。
今年の正月にニーチェの著作11冊を飛ばし読みしてみたが、私の覚えている文章を見つけることはできなかった。いつか、もっと丁寧に読み返してみたい。
人間機械論は、人類が大昔から悩んできた命題の1つである。つまり、人間には本当に自由意思があるのかという命題である。自由意思がなければ、すべての刑罰は無効となり、便宜上の懲罰にすぎないことは明らかである。
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