日本の企業の85%にあたる約325万社が従業員数が50人未満の小規模企業であり、産業医の選任義務がない。労働者数にして1127万人が産業保健サービスにアクセスできない状況にあり、企業規模による健康格差を生じていることが懸念される。このような社会課題に対する解決策のひとつとして、私は2018年に中小企業専門の産業保健支援企業を設立、事業の拡大を進めている。
2013年からの3年間、統括産業医として勤務していた大手企業の海外グループ会社へ産業保健支援を行うためのスキルアップ目的で、ノースカロライナ大学・公衆衛生大学院のオンラインMPHコースで学んでいた。同課程では健康格差が重要なトピックのひとつであり、その結果、職域の健康格差のことを強く意識するようになった。また、貧困層の自立支援を行っているグラミン銀行のことを知り、同じような薄利多売のビジネスモデルが日本にも適用できるのでは、と思ったのが、私が2018年にキャリアチェンジをするに至ったきっかけである。
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