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【識者の眼】「臨床研究法と小児の適応外医薬品」石﨑優子

No.5043 (2020年12月19日発行) P.60

石﨑優子 (関西医科大学小児科学講座准教授)

登録日: 2020-12-08

最終更新日: 2020-12-08

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薬物を用いた臨床研究でデータの操作や企業の関与が発覚したことを背景に、人を対象として医薬品等の有効性・安全性を明らかにする臨床研究について、その実施手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定める「臨床研究法」が、2017年公布、2018年から施行されている。

この法の対象となるのは主に「製薬企業から資金提供を受けて行われる臨床研究」と「未承認薬・適応外薬を使った臨床研究」である。これらは特定臨床研究と呼ばれ、「認定臨床研究審査委員会(2020年10月31日現在、全国で101)での承認を受けること」「実施計画書を厚生労働大臣に提出すること」「厚生労働省が整備したデータベースに登録すること」「研究実施中の質の管理を行うこと(モニタリング)」など、実施にさまざまな条件が課されている。

小児科医の立場では、小児への適応外医薬品が同法の対象となると、小児の臨床研究が困難になると考える。なぜなら小児医薬品のうち、小児の用法・用量が記載されたものは全体の約30%にすぎず、6〜7割が適応外であるからである。これらの小児の適応外使用医薬品には、別の疾患に適応があるがその疾患に対してはない場合と、成人には適応があるが添付文書に小児投与の用法・用量が記載されていない場合がある。後者に関しては、小児の医療現場で長く使用されており、安全上大きな問題は報告されていないものも少なくない。

よって成人に適応があるが小児の年齢層で適応外となる医薬品に関する研究は、条件を設定して同法の対象から外すことが望ましいと考える。すなわち、発売後一定の期間が経過し、学会の調査などで国内の小児における使用実績があり、重篤な有害事象が報告されておらず、そのデータの提示が可能な薬物に関しては、特定臨床研究の対象から外すことをご検討頂けるよう訴えたい。

石﨑優子(関西医科大学小児科学講座准教授)[臨床研究法][特定臨床研究][小児の適応外医薬品]

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