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「自助・共助・公助」と「自助・互助・共助・公助」は法令・行政でどう使われているか?[深層を読む・真相を解く(107)]

No.5050 (2021年02月06日発行) P.66

二木 立 (日本福祉大学名誉教授)

登録日: 2021-02-03

最終更新日: 2021-02-02

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前回連載(106、No.5044掲載)で、全世代型社会保障検討会議「最終報告」の自助・共助・公助(以下、三助)の説明は、2006年以来の政府の公式説明と異なることを指摘しました。具体的には、政府は従来「共助」を社会保険としていましたが、「最終報告」はそれを菅義偉首相が用いている「家族や地域」の意味で使っていました。これを読んだ複数の友人から、「三助よりも、地域包括ケア研究会が提唱した『自助・互助・共助・公助』(以下、四助)の方がしっくりする」等の、ご意見をいただきました。

実は、私は2012年に発表した論文「『自助・共助・公助』という表現の出自と意味の変遷」で、以下のように書きました。〈ただし、「共助」を社会保険とすると、従来の「共助」=「地域社会が持つ福祉機能」の居場所がなくなってしまいます。この矛盾を解決しようとしたのが、「地域包括ケア研究会報告書」(2009年)で、「自助、共助、公助」という3分類に代えて、「自助、互助、共助、公助」という4分類を提唱しました。この場合、「互助」は「住民主体のサービスやボランティア活動」とされ、「共助」は介護保険サービスと医療保険サービスとされています。私は、この4分類はそれなりに合理的と思いますが、政府・厚生労働省の公式文書ではまったく用いられていません〉(『安倍政権の医療・社会保障改革』勁草書房,2014,160-1頁)。

その後9年経ち、四助は広く使われるようになっています。そこで、三助と四助が、法令・行政でどのように使われているかを探索しました。

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