中央社会保険医療協議会総会は3月10日、2020年度診療報酬改定の経過措置について21年9月末まで再延長することを了承した。個別の処置・手術や「地域医療体制確保加算」のように算定にあたって前年の実績を求める報酬に関しても、4月以降継続算定できるよう、別途救済措置を講じる。
20年度診療報酬改定の改定項目のうち、▶「急性期一般入院基本料」などにおける看護必要度の該当患者割合の引き上げ、▶「回復期リハビリテーション病棟入院料1、3」の「リハビリテーション実績指数」の水準引き上げ、▶「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」の診療実績の水準引き上げ―については、当初20年9月末までの経過措置が設定されていたが、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、昨年8月の中医協総会での了承を経て、21年3月末まで延長されている。
一方、「地域医療体制確保加算」や、腹腔鏡下胃切除術をはじめとする個別の手術・処置などは、直近1年間の実績が一定件数以上であることが算定要件として求められる。20年度中は19年の実績で基準への該当性を判定していたため問題なく算定されていたが、21年度は20年の実績で基準を満たす必要があり、新型コロナの影響で救急搬送件数や手術・処置件数が減少した医療機関では4月以降の算定が難しくなる恐れが出ている。
対応策として総会は、①20年度改定における経過措置(看護必要度の該当患者割合など)は、基準を満たしているものとみなす現在の取扱いを21年9月末まで延長する、②施設基準等で年間実績を使用する報酬については、21年9月末まで19年の実績値での判定を認める(コロナ病床を割り当てられている医療機関は22年3月末まで)―ことを了承。また、DPC対象病院はDPC係数の扱いについて、▶「機能評価係数II」の改定は行わず、現行のまま据え置く、▶激変緩和係数は撤廃する―方針を決めた。
経過措置の21年10月以降の対応は、夏以降の総会で改めて議論する。その際にエビデンスとなるデータを収集するため、医療機関には新たに実績の記録を課した上で、入院料の算定区分が下がる場合や基準を満たせなくなった場合などには、実績の届出を求める仕組みを導入することも決めた。届出の記載事項は、▶基準を満たせなくなった項目とその実績値、▶新型コロナへの対応の有無、▶基準を満たせなくなった理由―などが想定されている。